ココアの初恋物語
@ramia294
第1話
真夜中。
外は、凍える銀世界。
部屋の中のストーブの火が、
温めてくれる熱いミルクと僕の身体。
ラジオでは、悲しい
素っ頓狂な声と、楽しいお話。
笑顔の中、生まれて初めての孤独感じる、
思春期の夜。
恋が生まれると歌う歌姫
恋は、何から生まれるのでしょう?
生まれるからには、
卵から?
どんな形?
まん丸
ハート型
それともやっぱり卵型?
どんな色をしているのでしょう?
涙のブルー
ハートのピンク
それともあの娘の瞳色?
生まれた恋の卵
どう温めるのでしょうか?
初めての胸の痛み
抱える
凍える真夜中の僕の部屋。
ストーブの火が、ただ1つの
僕の部屋と心
の
教室の隣の席の君。
昨日までと同じ笑顔。
しかし…
秋の風に乗って、
僕の元に届く。
子供の時代の終わり
の、知らせと色づく木の葉。
昨日までと違う僕の君への想い。
僕の笑顔と泣き顔。
君を想う時、
同じ顔が、鏡の向こうに。
キミを想う時の
胸の中のざわめき、
野山の枯れ葉踏む音。
昨日までの君と楽しく話す僕は、今何処に?
目の前の君と上手く話せない、
はずむ会話を堰き止めるダム
は、僕の胸の中の君の影。
胸の中のダム湖に満ちていく
僕の戸惑い。
君は、クラスメートから僕の胸を痛める存在に…。
恋の卵が生まれたのは、いつ?
出会いの春の、
まだ見慣れない制服の魔法?
君のセーラーのリボンは魔法のアイテム
恋の卵を生む魔法?
それとも、
階段の踊り場の、夏の光の中、
振り返る君?
夏の光は、恋の卵を生み出す波動?
想い積み重ねる粒子?
生まれた恋の卵を温めるには
どうすれば良いのか、
教えてくれない秋風が去って…。
教えてください。
悲しい
ストーブの上のミルク。
シヤッター通り商店街の喫茶店。
店主おすすめのココアパウダー。
その名も初恋物語。
タップリのお砂糖が、効果的。
完成。
ココアの初恋物語。
飲めば、勇気の炎が、胸の中
小さく灯り。
彼女に会うたび、大きくなって行きます。
諦める事の出来ない僕の初恋物語。
甘くて香りの良いココア。
僕の胸を熱く焼き、
小さな炎、揺らめきはじめる。
生まれた幼い炎の熱で、温める僕の恋の卵。
『僕の元に、生まれてきて』
と、願う日々。
ある日の帰り道、
僕を待つ君の姿、発見。
ココアの初恋物語。
始まる。
僕の口から、溢れ出る君への想い。
驚く君
の流す涙。
以前とは、変わった僕を
心配する涙。
それは、僕を想う涙。
君の心も恋する思春期の女性へ変わっていました。
笑顔の中のふたりの涙。
卵、割れ
幼い恋、生まれる。
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