第3話プロログ3


 煉瓦作りのビルをいくつか通り過ぎたあたりで都市で一番大きな橋に差し掛かった横には大きな時計塔があり、外交官の目的地であることは自明で、外交官は走りながら時計塔の下の扉が開いてることに気づき中に入る。

 追手が入ってこられないように、近くにあった燭台で扉の取手を固定した。


 建物の中は教会になっていた。鐘のある天井まで100Mはあるであろう建物でこの都市で一番高い。


 扉と十字架のちょうど中間辺りに座っている人物に気づき外交官は近づいた。

 その人物が目的の人であることは明らかで、自らも椅子から立ち上がり外交官に向かい合うように歩みを進めた。


 「久しぶりだね待っていたよ、外交官の仕事はどうだねキーンズ二尉?」


 待ち人は聞かされていなかったが祖国でお世話になった人物だった。キーンズは持っていたケースを男に渡した。


 「お疲れさまですブラウン少佐、楽しくやっていますよ、この国のウィスキーは私の口に合うのですが...今日でそれともお別れですかね...」


 「まぁ、酒ならまた簡単に手に入れられるさ..それより追手に追われているなら...そっちらを頼んだよ」


 キーンズ二尉は昨晩飲んだウィスキーと葉巻の匂いを思い出していたところに、二人の追手が入り口を開けようとする音が聞こえ現実に戻る。


 ブラウン少佐は十字架の裏にある扉から姿を消した。


 残された キーンズはちょうど扉を開けて中に乗り込んできた二人に一瞥し。時計塔の屋上を目指して梯子を登った。


 ケースがないことを目視で確認した追手は当然銃で撃ってくる 『曲がりなりにも未だ外交官なんだぜ...』と思いながら塔を登っていった。途中太股に弾丸があたり、死を覚悟したが何とか時計塔の上まできた。


 時計塔の最上階には大量の鳩がおり登った時、一斉に飛び立つ音が聞こえ普段立ち入らない場所であること、霧の都市に朝日が差し込む風景は幻想的で見れたことに一層の特別感を感じ、追手が登ってくる前に窓から河へと飛び込んだ。


 



 

 


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