第26話 刺客との戦い(2)
アイカは不敵に笑いながら動き出す。
次の瞬間、彼女の姿が消えた。
気がつくと、男の後ろに立っている。
男は反応できずに戸惑っていた。
そのままアイカは回し蹴りをする。
男は避けきれずに直撃を受けた。
衝撃で吹き飛ばされて地面に倒れる。
更に追い打ちをかけるように、アイカは男を踏みつけた。
「ぐはっ……」
男は苦痛の声を上げた。
「これで終わりかしら?」
彼女は冷たく言い放つ。
「まだだ……。こんなものじゃないぜ……」
男は立ち上がると、再び向かってきた。
「しつこい人ね……」
アイカは呆れた様子で話す。
それから、激しい攻防が繰り広げられた。
お互い一歩も譲らず、互角の戦いを繰り広げる。
「なかなかやるな……」
男が感心しながら呟く。
一方、アイカは無言のまま無表情で戦っている。
しばらくすると、男が攻撃に転じた。
拳を振り上げてアイカの顔に殴りかかる。
しかし、彼女は難なく避けると、カウンターで男の腹部に拳を打ち込んだ。
鈍い音が響く。
「うっ……」
男は苦しそうな声を漏らすと、その場に倒れ込む。
アイカは、そんな彼を見て嘲笑った。
「口ほどにもないわね……」
そう言って、男を見下ろす。
「ちくしょう……、調子に乗りやがって……」
男は悔しそうに喚いた。
「貴女はここで、やられる運命なの……」
アイカは冷酷な声で告げる。
「ふざけるな……」
男は起き上がると、血走った目で睨んだ。
「まだやる気なの? 本当に馬鹿ね」
アイカは溜息をつく。
「お前は絶対に殺す!!」
男は叫びながら突進してきた。
「私に勝てる訳ないのに……」
彼女は面倒臭そうにしている。
男は勢い良く飛びかかったが、簡単に避けられてしまった。
「うおおー!」
彼は必死の形相で追いかけてくる。
「諦めの悪い人は嫌いよ……」
そう言うと、アイカは指をパチンと鳴らした。
すると、突然、男の足元の地面が崩れ落ちる。
「うわぁーー」
男は悲鳴を上げながら落下していった。
「何!?」
俺は驚いて声を上げる。
「この程度じゃ死なないわよね?」
アイカはニヤリとした笑みを浮かべていた。
「クソッ!! 殺してやる……」
男は穴の底から叫ぶ。
「貴方はそこで大人しく待ってなさい……」
そう言うと、彼女は踵を返して歩き出した。
俺は呆然と見送る事しかできなかった。
やがて、彼女は俺の目の前までやって来る。
「隆司君……大丈夫?」
彼女は心配そうに尋ねてきた。
「ああ……。何とか……」
俺は苦笑いをしながら答える。
「良かった……」
アイカは安堵した様子だった。
「ありがとう……」
俺は礼を言う。
「別に気にしなくていいわよ……」
彼女は照れながら答えた。
そして、少し間を置いてから話し始める。
「それにしても、貴方も随分と無茶な事をするのね……」
アイカは呆れた様子で言った。
「それはお互い様だろう……」
俺は思わず反論してしまう。
「まあ、確かにそうかもね……」
アイカはクスっと笑う。
ちょうど、その瞬間に穴から男が出てきた。
「あいつが……」
俺は驚きの声を発する。
「あら、生きてたみたいね……」
アイカは特に驚く素振りを見せなかった。
「お前らだけは許さないぞ……」
怒りに満ちた表情で男は呟く。
「しつこいわね……」
アイカはうんざりした様子だ。
「お前らは俺の手で殺してやる!!」
男は高笑いしながら叫んだ。
「悪いけど、貴方に負ける気はないわ……」
アイカは不敵な笑みを浮かべている。
「ほざいてろ!!」
男も不敵な笑いを浮かべ彼女に向かって走り出す。
アイカは男の攻撃を軽々と攻撃をかわす。
「おいおい……。さっきまでの威勢の良さは何なんだ?」
男は挑発的な態度を取った。
「うるさい……」
アイカはムッとしている。
彼女は反撃に出ると、男を蹴り飛ばした。
「ぐはっ……」
男は吹き飛ばされると、地面に倒れる。
「まだまだ、これからだぜ……」
男は、ふらつきながらも立ち上がった。
「しぶとい奴ね……」
アイカは嫌気が差しているようだ。
「今度はこちらの番だ……」
男はそう呟くと、彼女に襲いかかる。
「無駄よ……」
アイカは余裕で避けた。
「これならどうだ!!」
男はアイカの目の前で自分の眼を赤く光らせた。
眼を見た途端にアイカは身体の自由が効かなくなってしまった。
「これは!?」
アイカは動揺を隠せない。
「ふははっ……。お前の動きは封じさせてもらったぞ……」
男は勝ち誇ったように話す。
「くっ……。動けない……」
アイカは必死にもがくが、全く身体を動かす事ができない。
「これで終わりだ……」
そう言うと、男はアイカの首を掴んだ。
「うっ……」
アイカは苦しそうにしている。
「よくもコケにしてくれたな……」
男は不気味な笑みを浮かべていた。
「どのように苦しめてやるか……」
彼は舌舐めずりする。
「やれるものならやってみなさい……」
アイカは強気に言い放った。
「ああ……。ここでお前を裸にひん剥いてやるよ!」
男は興奮気味に叫ぶ。
「最低ね……」
アイカは軽蔑するような目で見ていた。
「減らず口を叩くんじゃねぇ!」
男は怒鳴り散らすと、何処からか大型のナイフを取り出した。
そして、アイカの服を切り裂いていき布の切れる音が響き渡った。
「きゃぁーー!!」
アイカは悲鳴を上げる。
やがて、彼女の上半身が露わになった。
白く透き通った肌が眩しく形のいい胸が目に付いた。
「次は下半身も丸出しにしてやるぜ……」
男は好色な顔をしている。
「この変態……」
アイカは嫌悪感を示した。
「その顔もそそるねぇ~」
男は下品な笑みを浮かべながら、アイカの顔に手を伸ばす。
「触らないで!」
アイカは必死に抵抗する。
「おとなしくしろ……」
男はアイカの頬を叩いた。
乾いた音が鳴る。
「痛いっ……」
アイカの顔に屈辱の表情が浮かび男を睨む。
「許さない……」
「まだ、そんな口がきけるのか? まさか、この程度で止めると思ってる訳じゃないだろうな……」
そう言って、男はアイカのお腹に拳を打ち込んだ。
「うぅ……」
アイカは苦悶の声を上げる。
「いい声で泣くじゃないか……」
男は満足そうな表情をしていた。
この光景を見ていた俺は怒りの余り、冷静さを欠いていた。
「おい! いい加減にしろよ!!」
俺は怒りを込めて叫んだ。
「黙れ!! 部外者は引っ込んでいろ!!」
男は俺を一喝する。
「何だと!?」
俺は苛立った声を上げた。
「貴方じゃ勝てないわ……」
アイカは諭すような口調で言う。
「お前はそこで見てろ……」
男はニヤリとした笑みを浮かべた。
次の瞬間――。
突然、男の背後に別の男が現れる。
「な、なんだ!?」
男は慌てて振り返る。
そこには銀髪の髪をした美しい顔の男がいた。
「誰だ……お前は?」
男は警戒しながら尋ねる。
「妹を傷付けた罰として、それなりの代償を払って貰おうか……」
男は怒りの表情を浮かべて答えた。
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