Goodbye, hateful town

 寒さがおさまって春の暖かさが体を休める、温もりが自分を落ち着かせる。

 空を見上げると雲ひとつない晴天だった、太陽は優しく俺を照らす。

 目を眩ませる。

 バックをカゴに入れ自転車を走らせようとした、今日は授業の科目が多いため荷物が無駄に多い。

 置き勉するのを忘れた俺が悪いのだが。

 自転車を少し走らせたら見えてくるのは大地に広がり続けるちっぽけな田んぼと緑色の迫力のある山、あるものはこの2つくらいだ。

 何度都会に憧れただろうか?あの圧迫感のあるマンションに囲まれたコンクリートの道をスラスラと自転車で駆け抜けてみたい、そんなことをこのだだっ広い田んぼに囲まれた道を見つめると思ってしまう。

 不満だ。

 もう少し自転車を走らせたら、自分も今着ているパッとしない学ランを着た生徒が3人くらい俺の目に入った、小さな学校だ近くで見れば大体どんな名前くらいかはわかる。

 だが、そこまで仲良くない人だと気まずいから取り合いず避けて自転車を漕いだ。

 ゆっくりとサドルに座ってた尻をあげ立ち漕ぎに変えた、速度は少しづつ上がっていき3人の自転車を漕いでる人に追いついた。

 よくみてみると後輩のだった。

 関わったことがあまりないので気まずさがある、自分はいないように見せてゆっくりと3人組を通り過ぎた、話し声が聞こえたするけど聞こえなかった。

 そう思っていよう。

 立ち漕ぎを続けて走っていればみるみるうちにうちの学校の生徒が増えてきた、比較的遅めの時間帯に登校してるのでそこまで多い方ではないと思う。

 顔見知りの先輩がいたので軽く挨拶をした、顔見知りと行ってもインストというsnsアプリでのDMでしかあまり話さないのだが。

 まぁ先輩との関係なんてゆーてそんなもんだと思う。

 もう少し自転車を走らせると学校が見えてくる、別に嬉しくもないし嫌なわけでもない自分の気持ちについていくのがむづかしい、そう思う時が多い。

 あっという間に学校に着いた、自転車から降り駐輪場まで自転車を押した。

 自分のいつもの定位置に自分の自転車を止めるとすぐさまバックをせよい駐輪場を後にした。

 教室は3階にあるから階段を上がっていると自然と息が上がってくる。

 階段を登りきると見慣れた顔したやつが立ってた。

「よぉ、うみ」

 俺の名前が呼ばれた。

「よっ、りょう」

 俺もそいつの名前を呼び返した。

 こいつは春瀬りょう、同級生で1年の時から同じクラスで今でも同じクラスでこう言っちゃああれだが1番の友達といってもいいのかもしれない。

 早速の出待ち、いつもどうりといっちゃあいつもどうだ。

 教室まで並んで話して向かった、話の内容はどうでもいい話ばかりだ。

 どのカップルが別れたとか、今日5短とかいつもどうりすぎた。

 バックを机の上に置いたらりょうが連れションを誘ってきた、りょうは連れションよくしがちだ。

 トイレ終わり、鏡の前にたち髪を整え直した。

 ケープで固めたのが崩れてないか心配だ。

 無事崩れてはいなかった、無造作なマッシュの髪にしてるため結構気にする。

 隣のりょうは結構短髪のツーブロなためそこまで気にしている様子ではない。

 廊下を2人で歩いていると女子2人が見えてきた、見慣れた顔だ。

 ゆえとゆなだ、仲がいい。

「りょーとうみじゃん」

「よーゆな」

 りょうとゆなが話をし始めた、質全的に俺の話相手はゆえになった。

 会話は俺から切り出した。

「ゆえ、この前の小テストどうだった?」

 よくありげな会話の始まりだ。

「え!あれはほんとガチで無理」

 ゆえはいつもどんな話題でもテンションよく話を返してくれる、陽キャ女子にはありがちだ。

「今度一緒に勉強でもするか?」

「ガチ!?ありがたすぎるぅ」

 自分で言うのもなんだが結構頭はいい方だと思う。

「えぇーなになに〜〜うみとゆえ、一緒にベンキョー会すんのーー」

 りょうと話してたゆなが話に入ってきた。

「私もいれて〜〜」

「じゃあ俺も」

 りょうも話に入ってきた。

「じゃあ今日の放課後にでもすっか」

 りょうはリーダーポジションになりやすい、みんなで決めることのアイデアはりょうがよく出す。

「りょーかーい、私の家空いてるから私の家でいいー?」

 ゆなは言う

『い〜よ〜』

 3人揃っておんなじ言葉で返した、ゆなは周りをなごらかな雰囲気にしてくれてグループには必要だ。

 話が終わるとみんなさりげなく自分のやることに戻っていった。

 バックの中から荷物を出しているとさっきまで話してたりょうとゆなが2人で寄ってきた。

 2人揃えていった。

『化学の課題見してーーー』

 これも恒例の行事みたいなもんだ。

 このバカコンビはうちのクラスでも人気だ。




 あっというまに時間はすぎ、先生が入ってきた。

 担任は二十代のいかにも好青年な男性教師だ、女子たちからも人気がある。

 担任のおかげだろうかクラスの雰囲気はとてもいい。

 名前は兜屋というちょっと珍しい苗字だとは思う。

「えぇー今日は5短日程で5限までなので早く帰れます」

 嬉しい報告だ、まぁ知っていたが。

 それとプラスでめんどいことを思い出した、7時から塾があることを別に勉強が苦手なわけではないんだが、ただただだるいだけだ。

 



 時は過ぎ5限目が終わり、掃除したらあっというまに放課後だ。

 部活には放送部に所属しているため簡単にサボることができるから速攻帰ることができる。

 駐輪場まで向かう時もりょうとゆなとゆえで話していた。

 みんな放送部だ、ろくに部室などいった覚えなどないけど。

 校門を出てすぐに3人ともスマホを取り出した、田舎な学校なだけあって校則も厳しくスマホを持っていくのは禁止だ、だが大体は破って持ってきている、実際俺も持ってきている。

 俺もバックから慣れた手つきでスマホを取り出した。

 そしてフェイスI'dでスマホを開けようとしたが案の定開かないため、慣れた手つきでパスワードを打った、0425、これがパスワードだ。

 これは亡き父の命日だ、なんでこれに設定してるのって言われるとちょっと気まずくなるから変えようと思ったが不思議と変えることができない。

 みんなが開いたアプリは全員一緒インストだ、ストーリーを確認している様子だった、俺もストーリーを確認した。

 そんなことしていればあっという間に見慣れたゆなの家だ。

 いつもどうりゆなの部屋の前で2分程度待たされてから部屋の中に入れてもらう。

 ゆえと俺は早速ルーズリーフを取り出し、勉強に取り掛かろうとした。

「おいおい君達〜〜勉強会はまず勉強の前にお菓子だろ〜」

 といってゆなはお菓子を出してきた、どれも食べたことあるものだがほとんどうまいものだった。

「ゆなは楽観的すぎるんだよ〜」

「そーかな?笑」

『そーそー』

 ゆえの言葉にりょうと俺は息を合わせて共感した。

 楽しかった、この空間は当たり前だが特別だ。

 そこから2時間、勉強会をした。

 時間はあっという間に経った、ゆえは家の方向が逆なためゆえは1人で帰っていった、帰り道、りょうと2人夕方の夕焼けというなんともありふれた景色を見つめながら2人で自転車を走らせた。

「今日、楽しかったな」

 りょうは寂しげに口を開いた。

「あぁ、珍しくりょうとゆなも頑張ってたじゃん」

「珍しくとはなんだ珍しくとは」

 会話が全く面白くない、でもそれでよかった。

 ちょっとしたらりょうの家に着いた、りょうは「じゃあな!」って言って家に帰っていった。

 



 1人、自転車を走らせているとふと思った、こんなに満足な学校生活あるだろうか?いやない。

 ここまで満足のいった理想といっていい生活、でも思ってしまったんだ。


 ———————つまんな———————


 思ってしまった、ここまで理想なのになんでこの心の穴にぽっかり空いたような気持ちはずっとずっと前から何かが不満で、何かが退屈なんだ。

 罪だとおもった。

 考えてたら家に着いた。

 自転車を停めれば小走りで家のドアまで行き鍵を開けた。

 母さんはいなかった、いつもだが。

 いつも働きに出ている。

「荷物まとめるか」

 ふと思った、この町から出よう。

 決心した。

 

 大きな黒のリュックサックの中に服や充電器、いろんなものをいれていった。

 そして母さんの部屋にいき、お金が入った封筒を取り出した。

 全部で50万。

 なんとかなるか。

 そう思った。

 バックをせよい、自転車に乗り、駅まで走った。

 グッとタイミングで都会行きの電車がきていた、いきよいよく、行き先なんて決めず電車に飛び乗った。

 さようなら、この町。


 ——————Goodbye, hateful town——————

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ストリート・バック・ゴー @remonkaju

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