ストリート・バック・ゴー

昔、見ていた光景。

　だいぶ前多分俺が4歳くらいの頃だったかな、あの道を見たのは。

　綺麗すぎず、着飾ってなくて、変に憧れていた。

　あの街に—————————

　ちっちゃな頃、父さんの顔は霞んでよく思い出せなかったがあの街だけは思い出せる、よくかたぐるまをしてもらって色んなお店に行ったことは今でも覚えている。

　ごちゃごちゃしていて空気が重かった、あの店。

　暗くて圧迫感がある、あのライブハウス。

　どこか懐かしい感じが醸し出された、ご飯屋さん。

　何もかも覚えている。

　ずっとずっと、この街に居続けていたかった、でも入れなくなってしまった、いつの間にか。

　父は倒れた。

　呆気なく死んだ、涙は出なかった。

　そんな自分が嫌いになった。

　ポツンと一人ぼっちになったみたいな気分が続いた、何日も何日もあの街を忘れないように覚え続けた、でもいつからだっただろうか。

　頭から、プツリとその記憶だけ糸が切れたみたいに思い出が消えて無くなってしまった。

　でも、あることがあって糸はまた結ばれ、思い出すことができる。