10.番人の実力

俺はフラーレとともに、あのタワマンに戻った。

「この家には、練習場も兼ねてるんだ。」

エレベーターに乗りながらフラーレが説明する。

「そうなんだ。」

ポーンと音が鳴り、階数を見ると13階。

「あれ、お前の部屋は10階じゃねぇの?」

「あれ、言ってなかったっけ。10階から上は僕が所有しているんだよ。とは言っても、10階以外はミカゲと共有だけどね。」

「マジかよ…。」

殺し屋がこんなにも稼げるとは思わなかった。

「ここが、練習場だよ。」

「ひれぇ……。」

フラーレが扉を開けると、10階と同じように開けた部屋。

サンドバックや、ミカゲさんが作ったであろうロボットが何台も置いてあった。

「まずは慣れていかないとね。一番安全な1段階で練習していこうか。」

そう言って、フラーレはロボットを持ってきた。

体はクッションで包まれており、当たっても痛くなさそうだ。

「これね、凄いよ。いくら殴っても壊れない。打撃の強さや、人間がどれくらいのダメージを受けるかが事細かにわかるの。まずは一時間、こいつと対戦してみようか。」

フラーレが電源を入れ、タイマーを60分にセットする。

「60プン、ウケタマワリマシタ。」

ロボットから合成音声が聞こえ、目が緑色に光る。

ロボットは、懐から木刀を取り出すと、こちらに向かってきた。

「うぉっ!」

さっとギリギリで避ける。

「そんなんしてたらすぐやられちゃうよ!早く攻撃しなよ!」

「わかってる!!」

警察学校で練習してきた攻撃の仕方と違う上にランダムで、次の手が読めない。

「うっ!」

木刀が腹に入った。

痛みで蹲りかけるところに、上から木刀が降ってくる。

痛みで気絶しそうになっても止まらず、当たる気配もない。

60分間、動くロボットのサンドバッグになり続けた。

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