8.蒼的夜の過ごし方

「うわぁー!美味しそー!」

「はいはい、そうですか。」

取り敢えず料理をするためにキッチンを片付けたので、もうヘトヘトである。

待ち切れなかったのか覗きに来たフラーレに、「態々片付けてくれたの!ありがとう!」と言われ、思わず殴りそうになった。

まぁ、マッケンチーズは上手くいったし、綺麗になったので幾らかは過ごしやすくなったからよしとしよう。

パクっと大口で食べるフラーレの横に、自分のマッケンチーズを置いて座る。

「ん〜!美味しい!流石フロード!」

「ああそうかよ。そりゃ良かったな。」

ハッと鼻で嗤って自分も口に入れる。まぁ、普通の美味しさだ。

まるで初めて食べたかのようなスピードで食べていくフラーレを見ながら、マカロニをスプーンで掬った。


「ごちそーさま!久しぶりだよゼリー以外食べるの。」

「食生活終わってんな。」

「ご飯も食べたし、もう寝よう!」

「なんでそんなに小学生みたいな生活なんだよ。まだ10時半だぜ?寝るには早ぇだろ。」

「この家さぁ…。」

フラーレがそこまで言った瞬間、電気が消えた。

「え!?停電か!?」

「ミカゲが作ってくれた警察防止結界のせいで、10時半には電気消えちゃうんだよね〜。」

「夜に発動するから、電気をめっちゃ使うしで結界の発動する10時半には全部消えんの」と言いながら、フラーレはスマホのライトで床を照らす。

「寝室はこっちだよ。」

「寝室もまた汚ぇんじゃねぇだろうなほらやっぱり。」

コンマ1秒で出てきた答えに、深い溜め息をついた。

フラーレが寝ているであろう無駄にでかいキングベッドだけが綺麗で、それ以外は…。という感じである。

「俺、どこに寝りゃ良いんだよ。」

「ベッドでかいし隣で良いんじゃないの?」

「何が悲しくて男2人で同じベッドに寝んだよ!」

「じゃあどこで寝るわけ?このきっったない床で君は寝るの?」

「汚いと思ってんだったら片付けろよな!明日絶対片付けてベッド1つ置けるようにしてやるからな!」

フラーレを睨みながらベッドの左側に寝転がる。

「君、素直っていう言葉を知らないで生きてきたみたいだね。」

フラーレもまた同じく、少しこちらを睨みながら逆側に寝転んだ。

真夜中、寝相の悪いフラーレに蹴られて結局汚い床で寝ることになることを、このときの俺はまだ知らない。

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