7.番人と蒼は深く知る
資料を右に押しやり、体が軽くなった所で、フラーレがパソコンを寄せた。
「今回の依頼人は、うちの常連、TRUSEカンパニーの社長であるデイズ・アドニスだ。」
「
「実はね、TRUSEはイギリスの三大マフィアの1つなんだ。名前は
「それってよくあっちゃダメだろ…。」
「まあまあ。今回のターゲットはね、社員だったから住所、風貌、家族の有無とかいっぱい情報が開示されてる。あとはスマホとターゲットの家の近くの防犯カメラをハッキングするだけだから、本当に楽だと思うよ。」
「楽って言ってもなぁ…。フラーレからしたらそうかもしれないけど、俺からしたら殺し自体楽じゃねぇよ…。」
「君、うだうだ文句言い過ぎ。やるって決めたんだからやってよね。」
「はいはい。」
「じゃあ、1つずつ言ってくよ。さっきも言ったように、ターゲットはリーツ・ルバー27歳。勤め先は勿論TRUSEだね。営業二課。家族は定年退職した父親と専業主婦の母親。そして大学生の妹が1人。住所はここね。一人暮らし。」
フラーレは、GoogleEarthで検索していたターゲットの住所を見せる。
「まぁ、年齢にしては妥当な家だな。」
「そうだね。このアパートの右側に、暗い裏路地があって、そこで帰宅途中を狙って殺そうかなって思ってる。」
「了解。」
「見た目はこれ。決行日もスーツだと思うから、このままで想像してもらって構わないよ。」
今度は写真を見せてもらう。金髪の、好青年そうな男だ。
「よし、これで確認できたね。覚えた?」
「まぁ、ある程度は。」
「OK!ならご飯食べよ!」
「まさか、日本食が食えるのか!?」
ウキウキしながら尋ねると、
「なわけないじゃん。普通のマッケンチーズだよ。ほら、早く作って?」
「は!?なんで俺が!」
「だって僕料理作れないし。材料はあるから、作ってよ。」
「まあ料理が作れそうにないのは見たらわかる。普通にデリバリーでいいんじゃねぇの?」
「だってぇ〜、住所バレたくないし〜。だからといって温かいもの食べたいし〜。ってことでよろしく!キッチンはそっちね!」
「はぁ…。借り1つだからな!」
母親が倒れてからずっとご飯を作ってきたので、料理の腕には自信がある。
袖を捲りながらキッチンに入ると、リビングと同じように食器やらゴミやらが散乱していた。
ここもかよ…!拳をギリッと握りしめた。
まずは落ち着こう。料理には落ち着きが肝心だからな。俺は大きく息を吸った。
「ふざけんな!!!」
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