3.つられて闇へと潜り込む

「だからぁ、僕と組まない?って。」

「どこの警察が犯罪者と組むんだよ!」

「あれ、いいの?話も聞かずに断っちゃうなんて。」

フラーレはにやりと笑う。


「……話だけは聞く。」

「よしっ。僕さ、最近依頼が多くて困ってんだよね。イギリス内でも依頼は毎日のように来るのに、1年前から外国でも殺しの依頼が入ってきて。だからさぁ、人手不足なんだよねぇ。だから、ちょうど僕の仕事を見てしまった君に、お手伝いをしてもらいたいの!」

「いや、俺じゃなくても他の殺し屋とかいるだろ。そいつらと組めば良くないか?ってかまず、見られて困ってんなら俺を殺せば良くね?」

「殺し屋って、全員が仲間で全員が敵なの。ターゲットを抹殺するためなら、他の殺し屋に嘘をバラ撒いたり、道具を改造するなんてザラにある。勿論、その逆も然りだけどね。でも、君はそんなことしない。だって、正義感の塊でできたような警察官だもん。嘘とか嫌いでしょ?君は。仲間が警察だと、色々情報貰えそうだし。さっきの見てたけど、身体能力も高そうだしね。仲間に引き入れるのには、最適なわけ!」

「お前が言ってることはわかる。だが、俺にメリットが一つもないような気がするんだが。」

「君さ、お金に困ってんでしょ。」

「は…。なんでそれを!」

「顔見たらわかるよ。どうせ、父親がギャンブルとクスリで借金して、返済するために母親が働いていたけど体を壊して入院。他の人間が同じ目に合わない世の中を作るために警察官になったって感じかな?」

「な…なんで…。」

見事にあっている。顔を見ただけでわかるというのか。


「もし僕とコンビを組んでくれるんなら、お金はいくらでもあげるよ。警察にバレないように情報操作もしてあげる。あと、最近日本から誘拐してきた専属の和菓子職人と板前がいる。君に日本食を毎日作ってくれるよ。」

「日本…食…!」

日本で食べられているご飯。とっても美味しいって先輩言ってたな。

イギリスの食事は不味くて食えたもんじゃないし。


「一回だけだぞ。それ以上はやらないからな。」

「君ならそう言ってくれると思ってたよ!」

俺はフラーレが差し伸べてきた手を握った。

俺は家族を救うために協力するのであって、決して、決して!日本食に釣られたわけではないからな。

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