伝説の甘味(卵を使用)を作ろう!1
顔を洗い、スライムのルルリンを肩で受け止め、妖精メイドのサクラちゃん達に三つ編みを手伝って貰いつつ、身支度を済ませる。
そして、ルルリンとサクラちゃんを肩に乗せ、飼育小屋に向かう。
因みに、
そうなると、片翼分は上げなくてはならないかなぁ~
まあ、氷付けにしているとはいえ、雨が降っている中で野ざらしにするのは流石に問題なので、お願いするしかない。
片方だけなら良いかな?
そんな事を考えつつ、飼育小屋に入り「こけぇ~!」と相変わらず騒々しい赤鶏君に「はいはい、すぐにご飯を上げるからね」と言いつつ、赤鶏さんから卵を頂く。
そして、ご飯を餌箱に入れて上げる。
視線をチラリと向けると、相変わらず嫌そうにしている山羊さんと――え? 羊さん?
なんか黄金羊さん、毛が凄く伸びていた。
刈る前の半分ぐらい?
隣の白羊さんはほとんど変わらないのに、凄いなぁ。
まあ、もっとも、毛が伸びようが関係なく、羊さん達は朝からイチャイチャしていた。
結構すぐに子供が出来そうだなぁ。
……よく考えたら、出産てどうすれば良いんだろう?
勝手に産んでくれる……と思うのは甘いんだろうなぁ。
妊娠したら、その間、羊さん達が元いた牧場に預けるしかないか。
いくらかお金を払ったら、引き受けてくれるかもしれない。
……いや、生まれた子が黄金の毛をしていたら騒ぎになるか。
この辺り、イメルダちゃんに要相談だなぁ。
そんな事を考えつつ、山羊さんから乳を頂く。
そして、大麦や牧草を上げる。
すると、山羊さんがわたしの太もも辺りに顔をぶつけてきた
なぁに? 山羊さん。
え?
外?
雨が降ってるから、今日は止めておこうね。
いや、そんなに不満そうにしても、しょうがないでしょう?
こら!
わたしのお尻に八つ当たりをしない!
「めぇ~! めぇ~!」
不平を言う山羊さんを宥めつつ、背中を撫でて上げる。
ストレスが溜まっているのかな?
う~ん、羊さん達と部屋や小屋を分けた方が良いかもしれない。
卵と山羊乳をシルク婦人さんに渡し、食料庫に食材を取りに行く。
戻ってきてから、パンを作る。
寝間着から着替えたイメルダちゃんが
「ええ、おはよう」
と頷く姉的妹ちゃん、ちょっと元気が無いように思える。
やっぱり、昨日の事が尾を引いているのかな?
心配だ。
どうすれば、元気になってくれるかな?
美味しい物とか、甘い物とか……。
イメルダちゃんの好物って……。
卵かぁ~
あ、そういえば、”あれ”があった!
”あれ”ならママの洞窟でも作った事があったんだ。
あの時は、エルフのテュテュお姉さんが牛乳と卵を持ってきてくれて……。
いけるかな?
試してみよう!
パンを作り終えて、シルク婦人さんに相談し、朝ご飯を食べる。
皆がわたしの皿に卵料理が無い事に気づき不思議そうにしたけど「ふっふっふ」と含み笑いをしたら「ああ、またなのね」と何故か皆、納得してた。
どういうこと!?
洗濯物を終えてから、テーブルを拭き、そして準備をする。
シャーロットちゃんが「今日は、サリーお姉さま、お出かけしないの?」と腰にへばりついてきたので「雨だからね」と頷いた。
「じゃあ、シャーロットと遊べる?」
と嬉しそうにする妹ちゃん、激しく可愛い!
「そうだね、後で
と答えると「うん!」と言ってくれた。
そういえば、最近、何かと忙しかった。
たまにはのんびりするのも悪くないなぁ。
なんて考えつつ、準備をする。
シャーロットちゃんが「何するの?」と聞いてきたので「ふっふっふ」と再度含み笑いをしつつ、答える。
「伝説のおやつを作るんだよ!」
「伝説の!」
シャーロットちゃんが目を丸くするので、胸を張る。
「そう、こことは違う国で、多くの人々を熱狂させた、伝説のおやつなの。
余りに人気がありすぎて、その国にある
「すごぉ~い!」
驚いてくれるシャーロットちゃんのリアクションに満足していると、いつの間に座ったのか、ヴェロニカお母さんと妖精姫ちゃんが「まあ、楽しみね」”うん、楽しみ!”という様に言葉と身振り手振りで会話をしている。
その周りにも、沢山の妖精ちゃんが期待で目をキラキラさせている。
が、そんな皆に残念なお知らせがある。
「卵の量の問題で妹ちゃん達の分しかないから」
とはっきり言う。
「なっ!」と衝撃を受けた顔のヴェロニカお母さんと妖精姫ちゃん、そして、妖精ちゃん達をそのままに、準備をする。
と言っても、大したものでは無い。
木製のボールに入れた卵(黄身多め)、山羊乳、砂糖そして、以前、パウンドケーキに使おうとして作り置きしていたカラメル(水と砂糖で作成)ぐらいだ。
食料庫に行っていたイメルダちゃんが戻ってきて「何を作るつもり?」と訊ねてきたが「お楽しみにってことで!」と言って、座って待ってて貰う。
木製のボールにある卵(混ぜ合わせ済み)に砂糖と山羊乳を入れて混ぜる。
分量は……これぐらいで良いかな?
今回は牛乳じゃないから少々心配だ。
次に左手のモクモクで三つ分、器を作る。
器というか、たこ焼きを作る鉄板? それの穴が大きいものと言った方が正しいか?
量の関係上、以前よりは少し小さめにする。
その底にカラメルを入れて行く。
そして……。
あ、ちょっと一人だと難しいか。
「イメルダちゃん、ちょっと手伝って!」
「え?
どうするの?」
立ち上がり、テーブルを回って来てくれたイメルダちゃんに、木製のボールを持って貰う。
そして、わたしが右手で作ったモクモク漉し機の上から、左手のモクモク器に流して貰う。
「なんだかちょっと、難しいわね」
などと、眉を寄せつつも、上手い具合にやってくれる。
流石は宰相様だね!
それが終わった後、一旦、テーブルから離れる。
いつの間にか、台所から様子を見ていたシルク婦人さんに「加熱するから、台所でさせて」と声をかけると、こくりと頷き、招き入れてくれた。
左手で作ったモクモク器を右手で出した、白いモクモクで覆う。
そして、中を蒸す。
この時、器に熱を通す必要があるので、調整がちょっと大変だ。
うまくいってるかな?
白いモクモクは便利だけど、中が見えないのが難点なんだよねぇ~
なんて思いつつ、右手から出したモクモクで水蒸気を出し、蒸し続ける。
途中、シルク婦人さんが白いモクモクを指さし「何?」と聞いてきたので「蒸してるの」と説明をした。
ひょっとしたら、異世界には蒸し料理が無いかな?
と思ったけど、シルク婦人さんは合点がいったのか、コクコクと頷いていた。
やっぱりあるのかぁ~
う~ん、この異世界、前世チートでスゲーがなかなか出来ないなぁ~
まあ、いいけど。
二十分ぐらいして、様子を確認するために少し開けてみる。
湯気をやり過ごした後、覗いてみると……。
うん、大丈夫そうかな?
後は冷やすだけか。
再度、白いモクモクで塞ぐと、今度は冷やしていく。
急激にやると崩れてしまうので、そっとやる。
白いモクモクに魔力を流しつつ、皿を取ろうとすると、シルク婦人さんが手でそれを止めて、代わりに準備をしてくれる。
助かります!
さて、上手くいったのでしょうか?
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