第7話 調査の末

ガキン ガキン ガキン ガキン ガキン !!!

スドン スドン スドン スドン スパーン !!


剣による斬撃音と拳による打撃音で実験場で鳴り響いた遠くでは葵の魔法による攻撃をしていたカタストロフはいくら攻撃を受けても再生を繰り返し徐々に勇樹達の体力を減らしていた


「こいつら殴っても殴っても再生しやがるいったい何なんだこのカタストロフは」


(強い・・・さっき会ったカタストロフより強い攻撃を防ぐのに手一杯だ)


「それにデータにないカタストロフですね」


葵は必死に魔法で攻撃するが何度も再生して襲い掛かってくる葵にとってはこの程度のカタストロフの強さは大したことのない敵であったが徐々に体力に消耗を感じていた


「はぁ・・・はぁ・・・」


勇樹はついに膝を付いた初めてのインフィニティゾーンでの長時間の滞在で体力が底をつき始めていたカタストロフは容赦なく勇樹に引っ掻きによる攻撃を諸にくらった


「ぐはっ!!!」


「勇樹君大丈夫か!?」


「勇樹!」


(強い・・・今の俺じゃあ勝てないどうすれば・・・)


『アクアバレット』


そう考えてるうちに勇樹にカタストロフがとどめを刺そうとするが葵が遠距離からの水魔法でそれを止めた


「勇樹大丈夫?」

「ああありがとう葵」

「ええでも戦況はあまり変わらないわ」


カタストロフ二体はこっちを見つめて襲い掛かる大勢をしていたが突然4体のカタストロフは苦しみはじめ巨大な咆哮を上げた


グロオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!


その咆哮に勇樹達はとっさに耳を塞ぎ咆哮が止んだと思ったらいきなり4体のカタストロフは合体を始めた


「なんだ一体何が起こっているんだ・・・」

「初めてですこんな合体なんて」


その合体の様子はお互いの肉体がスライム状に溶けだしまるでお互いが共鳴し合っているかのようにうまく合体をしていたその様子を見た勇樹達はほぼ唖然としており葵や慶介は今までの任務では全く出会ったことのない変わったカタストロフであると恐怖しつつも警戒は怠らなかったしばらくすると合体が終わりやがてその形は人型を形成していった。その姿は頭に二本の山羊の角が生えており身体は全身にわたって鋭い棘が生えておりコウモリのような翼もあった


「うむ我はいったい何者だそれにここは考えても分からぬな」

「なんなの人型のカタストロフ・・・」

「珍しいんですか」

「珍しいどころじゃない・・・人型のカタストロフは通常のカタストロフより数段格上でなおかつ危険度はB以上・・・!!」

「BってつまりA級隊員じゃないと倒せない危険度・・・」

「そうだつまりここにいる俺達じゃあ仕留めることはおろか生きて帰れる確率は運が良くても3パー」


(危険度Bってそんなに強いのか・・・もしこいつが危険度Aだとしても状況は最悪であることには変わらないってか)


「うむおぬしらは何者だ」


するとそのカタストロフはこちらに会話を持ちかけてきたしかし誰もその会話に答えなかったいやできなかったのだ。そのカタストロフから感じる不気味で未知なオーラに恐怖していた


「うーむ同じ言語で話したはずだがおぬしらからは我からの恐怖で声すらも出せないってかまあいい我は腹が減ったからおぬしらを食うとするか」


すると人型のカタストロフは指先に黒いエネルギーを集めそのエネルギー砲を勇樹達放った


(でかい・・・!!だめだ足がすくんで避けられない・・・動け・・・動け!!)


勇樹はそのエネルギー砲から慶介と葵を守ろうとしたが突然慶介が勇樹と葵をかばい、エネルギー砲を諸にくらった


「ぐああああああ!!!」

「雪畑さん・・・!!」


(ああまたこれだ私はいったい何人の人と別れるの・・・)


「どうして俺達を守ったりなんか・・・雪畑さん」

「北里、勇樹君・・・逃げるんだ・・・あいつには勝てない・・・」


慶介はふらふらながらも立ち上がり怯えながらも戦闘の意思はなくさなかったむしろ勇樹達を守ろうとする意志を絶えさせなかった


『アイスカウンター』


慶介はカタストロフに近距離で近づき一発のパンチを喰らわせたが全くくらっていなかった


「ふむ食料にしてはしぶといが今の攻撃は我には全然効いていない」

「くそ・・・ならこれでどうよ」


(今まで隠してきた技だがこの技に賭けるしかない俺はどうなってもいいだからこの攻撃にすべてを賭ける)


慶介は目を瞑り全身に氷のオーラを纏わせたそして冷たい風がやがて激しく吹き始めたそして両拳にすべてを集中させていた


「雪畑さん私の水魔法で援護を・・・」

「俺も役に立つかはわからないけど戦わせてください!」

「だめだ!ここから先はお前らも死ぬぞ最後に言わせてくれ短い間だが楽しかったぜそれと勇樹君任務ではこのような不測の事態が起こることはそう珍しいことじゃない時には仲間を失うこともあるその時折で乗り越え成長していくんだ君は強くなれる」

「雪畑さん・・・」


勇樹達は慶介の最後の光景を目の当たりにしたその姿はまるでいくつかの戦場を潜り抜けてきた気高き戦士であった


「うおおおおおおお!!!!」


『フローズン・ゼロ』


雪畑は飛び上がり全身全霊の氷のラッシュをくらわせた


「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらぁ!!!」


そして雪畑は最後の一撃をくらわせると辺りは一面氷の世界になっていた凍てついた霧状の空気がこの部屋を覆う中黒い影が独りでに現れた


「ふむ今の攻撃はなかなか良かったが残念ながら大して俺にはダメージは入っていないが褒めてやろうかすり傷程度だがな」


雪畑は全ての力を使い果たしもうしゃべる体力を残せておらず身体が徐々にヒビが割れ始めていた


(なんて奴だ俺の全力の技をかすり傷だなんて・・・・)


「おぬしはちょうどよい餌にはなるな」


カタストロフは口を目一杯開けてかぶりつき飲み込んだその様子を見た勇樹達は絶望していた自分より強いB級隊員がこんなにあっさりと食われるなんて思いもしなかった食い終わるとこちらを見て何かを話し始めた


「うむ今ので腹の足しにはなったからなおぬしらは見逃してやる命拾いしたな弱く愚かな人間よ」


そう言い残しカタストロフは空間を開けてどこかへと消えていった

しばらく勇樹達は絶望で声を出せなかったが奴が消えたときにはじめて声を出せた


「雪畑さんがこんな簡単にやられるなんて・・・」

「そうね・・・・」

「俺がもっと強かったら・・・戦況は変わったかもしれないのに」

「・・・・・・雪畑さんが言ってたようにこの先多くの任務で死ぬ可能性が大いにあるその中であなたが死ぬこともあるし他の誰かが死ぬかもしれないこれは命を賭けた任務である以上仕方ないことなんだよ」

「仕方ないって・・・そんなんでいいのかよ!!俺だったら見捨てない仲間を死なせない全員生きて任務を遂行したい!」

「いずれ分かることだよ・・・行こうか」


勇樹と葵は暗いどんよりとした空気感でインフィニティゾーンから離脱したそれから新幹線で本部へと向かった


「よく戻ったなそれで雪畑隊員はどうした」

「それが・・・B級隊員雪畑隊員は未知の人型カタストロフとの戦闘で殉職しました」

「まさかそんなことがどの階層で戦ったんだ」

「一から私の方で説明します」


葵はZ区の空間の裂け目のこととそれが15階層に繋がっていること、謎の実験場のような場所があったこと、人型のカタストロフとの接触を報告した


「私の推測ですがおそらくその4体のカタストロフはZ区の隊員ではないかと推測しています」

「確かに人数的にも一致するがその証拠はあるのか」

「はいそれがこの隊員服のきれっぱしです」

「これは・・・確かに隊員服」

「はいその隊員服のきれっぱしがあの空間にということは何者かがあの場所で人間をカタストロフにする実験を行っていたのではないかと考えています」

「うむその辺は改めて調査する必要があるなそれにヴァーテルでも起こり始めている謎の消失事件との関係は大いにあり得るからな」

「はい私からは以上です」

「ああそれと西園寺隊員初の任務は衝撃的なことになってすまないと思っている北里隊員の報告からでは君は危険度Fのカタストロフを倒したと聞いているからなそれだけでも上出来すぎるぐらいだ」

「本部長俺は・・・」

「雪畑隊員のことなら気にするなとは言わないが職業柄こういうことは多々あるだからいつまでも下を向いているんじゃなくて前を向きなさいそこで助けられなかった命があるなら次に活かして同じ任務仲間助けるぐらい強くなれそれが私から言えるアドバイスだ」

「分かりました俺はもっと強くなります。強くなって俺の友達を殺した奴も雪畑さんを殺した奴も俺が倒します」

「期待しているよ西園寺隊員」


勇樹は本部長からの言葉を受けて新たに前に進むことを決意した












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