#13 母性2
マスクしてでもわかるニヤつき顔でA子は言ってきた。女子高生にとって恋バナほど楽しいものはない!
「え、いいなぁーー!」
「そう?」
「恋愛したいもん!」
「〇〇うちよりテンション高いな」
と、言うが、A子の楽しそうな顔には負けているに違いない。
「だれなん?」
「え、ひみつー」
言わんのかい!と、問い詰めるもA子はニヤつき顔で首を振る。
「〇〇やから言えへん」
こういうところピュアで可愛い。
でも私は諦めず、小中学生が恋バナをする時の常套句を繰り出す。
「じゃあヒント!」
攻防の結果、幾つかわかった点がある。
•身長はA子より高い
•かっこいい(好きな人はみんなカッコよく見えるから信憑性に欠ける)
•運動部
•クラスの男子ではない
そして、
•B君と雰囲気が似ている
……なるほど。最後の特徴が決め手となり、私はある程度検討がついた。
それをA子に伝えると、余裕綽々で、
「多分違う」
と言われた。
でも私も結構自信ある。
「絶対あってるって」
どうだろね、とA子はずっとニヤつき顔。
そして、もう隠すと決め切っているらしく、どんなに問い詰めても教えてくれなかった。
私も諦めて、静かに見守ろうかとも考えたが
やっぱり一日五回は挑戦していた。
◇ ◇
それは突然だった。一週間ほど経った時、
「別にいじわるしてたわけじゃなくて、
〇〇に言うのが一番恥ずかしかってん」
この前置きの後、A子は部活の後輩君の名前を口にした。
衝撃、ほんとにびっくり。後輩という線は考えていなかった。
しかもその後輩君は、あまりB君に似ていない。一年生ながらスタメンを勝ち取っている彼はなかなかの体格で、派手な方だ。
「あの子B君に似てる?」
「雰囲気一緒やん」
「細めが好きって言ってなかった?」
「それは変わってないで」
まじか、、全くわからない。
あなた大人っぽいのがタイプやったやん。
「なんか恋っていうより、愛。
まじで母性わいちゃってるわー」
それはわかるなぁ。一年生たち可愛いもんね。にしても愛て。
母性かー。好きな人に可愛いと思ったら、もう沼ってしまう。厄介なものだ。
彼氏役、考え直すか?
まあ、可愛さゼロはダメだな。
そんな私の考えはつゆ知らず、最近のA子は楽しそうだ。恋する乙女に敵はいない。
A子がんばれ!
でも何年後かわからないけど結婚相手は落ち着いてる年上にしときなよ。
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