第2話 大陸変化

 数ヶ月かけてアメリカへと向かった。

 ヨーロッパを通って、大西洋を渡った。

 その道中は酷いの一言に尽きていた。

 技術は世界でどんどんと進歩していった。だがその技術は大都市へと集まっていき、地方にある国はその技術が使えず、人は技術を求めて中央の大都市へと出ていってしまった。

 技術の進歩は始めは人類に大きな進歩を与えてくれた。

 経済発展、今まで解明出来ていなかった問題の解決、果てには宇宙に関することが一気に発展し、何処の星に移住するかという話も上がっていた。

 しかしそれが蓋を開けてみればどうだ。

 技術の恩恵を受けて喜べたのは世界人口の半分にも満たなかった。

 人口が一気に増え始めたと言われている21世紀の80億から今はより寿命も伸び、出産率も上がってたのでその人口は150を超え、近い将来200億にも到達するのではないかと言われていた。

 そんな人口の半分以上が技術の恩恵を受けられず、技術を当たり前にした世界づくりによってどんどんと生活は厳しくなっていった。

 それに伴って世界はどんどんと荒れていった。

 そして気がつけば世界の名だたるトップに立つ人たちは姿を消していた。

 だがそれでもなぜか経済は周り、なんとか世界は壊れないギリギリの均衡を保っていた。

 だがそれも数年前までのことだ。

 今となっては多くの都市が経済的に回らなくなり、崩壊していった。

 そして崩壊を逃れようとしている人たちは次々にアメリカへと渡っていってしまった。

 もしかすると両親もそんな一人なのかもしれない。

 改造手術によって昔の黒い髪や紅色の瞳を失い、白くなった髪や薄い紫色の瞳となったこの体は生身の体とは違い、多くの栄養を摂る必要がなく、水さえあれば生きることが出来た。その量も500ml程度あれば一年は余裕で生きていくことが出来た。

 そんな状態なので両親は私を置いていったのかもしれない。 

 そう考えると震えがしてきた。怖かった。

 そんな震える手をミラはそっと触れてきた。

「この世界はあなたが思っているほど残酷なことはしません。壊れかけたこの世界で子供を見捨てる両親がどこにいるんでしょうか」

 ミラの言葉はとても少女とは思えないほどしっかりとした大人びた言葉だった。

 そしてここに来るまでもその言葉にどれだけ助けられたことか。

「ねえ、ミラちゃんてホントは何歳なの。どう考えても私よりは年いってそうだけど」

 「十五歳ですよ。でもまあ周りより大人びてるとはよく言われていましたね。でもそれは母の教育の賜物です。母は優しくて強い人でしたから」

 彼女からの答えに「そっか…」と、返すことしか出来なかった。

 どうやら私には彼女のように明るく、元気づける言葉を出すことは出来ないようだ。

「リアさんがそんなに思い悩む必要はないですよ」

「だってあなたの話聞いていると結局元気づけられるのいつも私じゃん。少しくらい私もちゃんとお返し出来なきゃ」

 

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