第30話 ユーリの過去
次の日の朝、すざくは床の上で目が覚める。
隣には、
くすっとすざくは笑う。昨日の剣呑な一件が、まるで夢のようにも思えた。
洗面所からすざくが戻ると、二人は目を覚ましていた。
ぼおっとして、立ち尽くすユーリ。どう見ても大人の体型だ。胸も。背も。
「ユーリ、しばらくこの寮に住むといい」
少しの沈黙の後、小さくうなずく。
「ユーリ。やさかと同じ部屋にしてもらった。そっちに行こう」
ユーリの制服は後日届くということで、とりあえず部屋着だけが用意される。
「いくらなんでも、ちょっと大きすぎたか......」
珍しく
「今日はつかれたな」
一日ぶりにベッドに横になる三人。ユーリはもう、眠りについたようだった。
なぜか眠れないすざく。そんなすざくを察してか、
「手間をかけるね」
「そんなこと......」
「すこし、ユーリの話をしようか。昨日は突然打たれたので驚いたと思うけど」
無言でうなずくすざく。
「ユーリ、ユーリヤ=スヴォーロフは魔法少女としてロシアの皇帝ロマノフ家に仕えていた子でね――」
まるで物語を語るような
「彼女の魔法術『誦祭記』は強力で、どんなに小さい狙撃人物も一撃で仕留めるし、どんなに大きな構造物でも吹っ飛ばす万能の力を持っている」
すざくは昨日のことを思い出す。もし本当に
「そして、あの出来事が起こる。そう『ロシア革命』さ。それが彼女の運命を大きく変えたんだ――」
すざくはただ、聞き入るばかりであった。
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