第18話 決心
「…………はあ」
冷静になってしまった。
さっきまではベルさんの励ましでテンションがおかしかっただけだ。
そもそもリーダーが何をやるかも知らないのに引き受けてしまった。
うぅ……絶対無理だよ……。
ベンチで私が一人頭を抱えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「エフェメラルさ……怪我……治った……んだ」
顔を上げると、そこには小さな笑顔を浮かべるミオちゃんの姿があった。
「あっ、うん。そうだね……。おかげさまで……」
「よかた……。本当に……心配してたんだから……」
彼女は心底安心したような顔をしている。
まだ出会って間もない。だけど、ミオちゃんは少しシャイなところがあっても、優しい子だと感じられる。
こんな私でも大切に思ってくれるなんて……。
「あ、ありがとうね……」
私は照れながらお礼を言った。
「ううん……。いいよ……」
彼女は首を横に振る。
それから、しばらく無言の時間が続く。
なんだか変な雰囲気だ。どうすればいいのかわからなくて困ってしまう。
「あのさ……」
先に口を開いたのは私だった。
「うん……」
彼女は小さく返事をする。
「私、新しいリーダーになることになったんだ。私なんかに務まるのかわからないないけど、よろしくね」
「そう……なの……。頑張って……ほしい……な」
彼女はぎこちなく笑みを作る。やっぱり、人と話すことにあまり慣れていないみたいだ。
でも、そんなところが可愛らしい。それにスクワッドメンバーとしても頼もしくもある。少なくとも、レンさんみたいな怖い人よりはよっぽどマシだ。
「うん、頑張るよ!」
「じゃあ……また……」
「えっ……もう行くの?」
「ごめんなさい……でも、用事があるから」
彼女は申し訳なさそうに頭を垂れる。
「そっか……。残念だけど仕方ないね」
私は少し寂しく思いながらも、彼女を引き止めることはしなかった。
彼女と話せてよかったと思う。少し勇気が湧いて来た。
「うん……。それじゃ……ばいばぃ……」
そう言い残し、彼女は去って行った。
「よしっ! 私もそろそろリーダーとして、やれることをやらないと」
まずはみんなに自分がリーダーであることを知らせるところからだ。メールとかでもいいけど、やっぱり直接会って伝えたい。
ミオちゃんには伝えたから、あとはレンさんとベルさんか。
でも……
「二人ともどこにいるんだろう……」
この広い本部を歩き回って探すのは少し骨が折れる。
ベルさんはもしかしたら武器庫にまた行っているかももれない。
とりあえず行ってみよう……。
そう決めて、武器庫へと向かった。
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