第8話

「お疲れーー今ので最後よー!」とラビーの声が箱庭に響く


どっとくる疲れ…数百人規模ではなく、夏と冬の幕張メッセであるイベント並みの人を相手した気がする…

私は大きなため息と共にその場にへたりこんだ


それを見たドラグーが

「お疲れ様、初めてあんな大人数相手したでしょ?神とは言え、休憩が必要よ」

と声をかけてくれた


ザクルスキーも、ラビーも飲み物や食べ物を頬張っている。

いつのまに出したのだろうと不思議に思ったが、スマートフォンをドラゴンに変えたように、手元に好きな飲み物やお菓子を想像すればでてくるのでは?

と思い自分の手のひらを広げて、じっと見つめる……


しかし、何も変化なく「飲み物をだしますか?」とドラゴンの姿をしたスマートフォンが話す

「お願いします」と私が言うと

見慣れた紅茶のペットボトルと、クッキーが私の手の上に自然な形で出てきた

この箱庭に来る以前飲んでいた紅茶と、クッキーは昔作ったことのあるスノーボールクッキーだ


懐かしい記憶だと思いながらクッキーを頬張ると

「そう言えばリヴェルーのドラゴンって名前とかあるの?」

とドラグーがいう


「名前…?」


「そう言えば私も気になってたわ。そもそもリヴェルーが転生者としても、元々つれていた使い魔とかなのか私もわからないもの」


とラビーも話に混ざってきた

ここでザクルスキー以外、肩に乗っているこれが機械だと言うことを言ってなかったことを思い出し、説明をした後

ドラゴンをスマートフォンに変えてみせた


「へぇーリヴェルーがいた世界だとこんなものがあったのね」

とラビーがスマートフォンの画面を覗き込む


「前も見てた世界で似たようなものを見たわ、どこだったかしら…」


と世界の様子を写している映像が、ラビーの前に写し出されテレビのチャンネルが切り替わるように次々と他の世界を映し出す


「あったわ」

と、その声にドラグーと私はラビーが見てた画面を覗き込むと、わぁ…と声が漏れる

そこには、スマートフォンとは違う形でも腕時計のような機械が光ったら、空中に映像が映し出されてる人と会話したり

ロボットが人の形ではなく、動物の姿をして共存する世界、いろんな姿で機械が繁栄してる


ラビーが見せてくれた世界の映像は、まるで大好きな漫画をパラパラとめくっている感覚のようにさまざまな世界の姿があった


不意にドラグーが耳打ちをするように

「このデスマーチはね、今回だけじゃなくて、実はもう何回かあるの。私たち二人はその被害者…」


急に重い話に「え?」と聞き返したくなる気持ちをグッと堪え次の言葉を待つ

「もうそろそろこのデスマーチを起こした張本人が来るかもしれないけど、決して驚かないでね。」


「……わかりました……でもそんな人いるんですね」


「…ここだけの話。張本人っていうのが、ザクルスキーの元仲間なのよ」

とドラグーは聞き取れないくらいの声で言った


ピクっとザクルスキーが反応した気がするが、何も聞こえないのできっと聞こえてないのだろう


ザクルスキーの元仲間が今回の事件の犯人…そうであっても、仲間を苦しめることをすることは何かいざこざがあったのか、その人自身の魂の本質が歪んでいるんだろう(って思いたい…)


「ま、私たちには手出しは出せないから安心して。でも、怖い思いするかもしれないから、私たちの後ろにいていいわよ」

とラビーが頼もしいセリフを言ってくれる


そういわれると、箱庭にとんでもクレーマーがくるのかと想像し苦虫を潰した顔になる。

しばらくの沈黙が続いた後

遮るように響いたのは、デスマーチを起こした犯人だった

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転生を拒んだら私が神様に?! モグー @moguKEDAMA

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