第4話

「さぁリヴェルー神。君を迎え入れると共に、顔合わせを兼ねた、集会場への入り口だ」

とハディーがゲートの入り口を魔法のように出して、そこへ入るようにうながす仕草をする


「はい…あの、箱庭の管理は」


私が神になったこの場は、リヴェルーが管理する世界。

通称、箱庭と呼ぶ


「あぁこの箱庭のことかい?それなら私の付き人がリヴェルー神の代わりを務めるよ。」


その言葉と共に黒いフードをのてるてる坊主のような人影が後ろに現れた

流石にこの姿は…(余計に悪の手先か死神っぽい)…と思い、ハディーにお願いして以前のリヴェルー神に似たような姿に変えてもらった


あとは大丈夫だよね…

と、子に先にいるであろうそれぞれの箱庭の神への不安を抱き、私は集会場へのゲートをくぐる



ゲートをくぐると目の前には空が広がり、点々とある雲が

まるで神の席のように配置されていた

ハディーが雲の上に立つのを見て、私は恐る恐る足を下ろして感触があるのを確認してからハディーの元へ向かう


新しいリヴェルー神に対する気に入らなさそうな顔、見定めるような顔、物珍しさに見る顔。

数えきれないほどの神がいて、ざわつく声には

「あれが新しいリヴェルー神か」


「見慣れぬ姿をしているがどこからきたんだ」


「長い間変わってなかったのに珍しいな」


「皆のもの!静粛に!これよりリヴェルー神の着任を知らせる!」


と、ハディーが張り上げた声を出すと、私が通ってきた同じゲートが現れ人影が現れた

こうして着任式もとい、研修の配属先会議といういかにも人間じみた会が開かれるのであった


ハディーは神たちを束ねるえらい神であり、ここにいる私とハディーを含めた5人は、お互いに世界がにかよったバランス。

つまり私やハディーが干渉しても差し支えない世界の神々なのだ(と脳内ではリヴェルーの置き土産がそう教えてくれる)


不思議に思い私は辺りを見ると、私たち5人が居る所を境に、他の神々は少し距離を置いている。

これって言うなら「私たちの箱庭は、あなた達に関係ない」と言うことだろうか?すると


「箱庭は関係性が高い所同士世界を調和するのです。つまり転生者自身の魂が箱庭へ迷い込むものであり、神々が選り好みするものではないのです」

と頭に響く

確かに神様が面倒くさがって、ほかの世界へってやりたくても転生者の無意識に求める希望が違ったら、神としてどうなのか……


「ハディーさーん。どぉして下積みで苦労しないでホイホイ神になれたんですかー?アタシの苦労ってソイツ以下なの?」


と、私が考えてるアンズー神が文句を口にした。

アンズーは白いロングドレス(あれ?ギリシャの絵画にあんなの居た気がする)赤いロングヘアーが美しい天使の羽が生えた女性の姿をしている。


「アンズー、口を慎め。お前も努力は報われて今この場にいる事が証拠だろぉ?口出す気なら、お前が新しいリヴェルー神を育て上げるかい?」


軽口を叩くようにアンズー神に声をかけたのはイスリィ神。その見た目は鼻と耳がとんがり、ドワーフといえばという見た目の顔立ちだ。


もう1人黙って見つめるのがザクルスキー神。顔は人間、ではなく赤い皮膚を持つライオンで、鳥の羽が背中から生えている。


この3人が私の先輩…と思い観察するように見る。

「情報」はあっても、借り出された猫の状態であって、以前のリヴェルーとはどういう関係なのかを探り探り。

変に声をかけて草むらから何が飛び出すかは怖いまである。


「さて、リヴェルー神の着任を期に研修を決めようと思う。アンズー神はまだ着任して若いので、外させていただく」

と、ハディーが進行役を務める


「ワシはパスー。しばらく研修をやっていないザクルスキーが適任だと思うぜ。だが、そういうワシもどっこいどっこいだがなー」


とさりげなくイスリィ神はザクルスキーに振る。

しかし、反対の意見もなくただただ沈黙するザクルスキー神。


「この沈黙はザクルスキー神を、リヴェルーの研修先とすることに合意ととる。いいか?」

とハディーがいうと、アンズーは外されたことをいいことにもうこの場には居なくなっており、イリスィの鶴の一声であっさり決まった。


初めて私は、束縛から解放されたかのような気持ちでザクルスキーの元へ行き「よろしくお願いします」とよそよそしく挨拶をした。


低くぐぐもったような声で

「あぁ、こちらこそよろしく」

とザクルスキー神が初めて声を出した

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