第7話 教会、神託、観測者は殺せるらしいニャ

 メインストリートをズンズン進みドンドン城に近づく。

 チラチラと周りは私を見るが気にせずスイスイ進む。


「まじでザルにゃ。3分で滅ぼせるんじゃニャいか?カップ麺より簡単ニャ」


 まぁ、私が本気を出せば数秒で滅ぼせそうな気もするけど・・・。


「チラチラと見られてるのもマスターが可愛いからで、なんの警戒もされてませんよ?よく今まで暗殺されなかったものです」


 そんな事を話していたら貴族街まで来た。ここで初めて門番らしき人が現れた。

 奴隷が貴族を襲うケースはありそうだしなぁ。


「通してほしいニャ」


 アホの振りをしてとりあえず進む。


「お嬢ちゃん、どこの子だ?見た事ない子だけど・・・」


「王様に用があるニャ」


 嘘は言ってない。


「ちょっと鑑定させて貰うよ。ん?あれ?なにも表示されない・・・」


『見られると問題ありそうなので隠蔽しときましたよ〜♪』


 サポちゃんマジ有能。


「私はお前達の言うところの神からの使いニャ」


 嘘は言ってない。そう言うとフードの隠蔽を解く。


「えっ!?耳、それに尻尾??神の使い?」


 門番は混乱している、そりゃそうなるニャ。


「王と連絡を取るので少し待って貰えるか?」


 門番は狼狽うろたえながらも、何やら独り言を言っている。


『あれ、なんニャ?』


 私はサポちゃんに念話を送る。


『ステータスウィンドウにはフレンド機能、とフレンドとの通信、

メールが出来る機能があります。多分それで連絡してるのかと』


 まさかの携帯電話完備!?

 ぬるゲー通り過ぎて面白みが無くなりそうニャ・・・。


 何でもフレンド登録は二千人まで出来るらしい。

 それ故の貴族約二千人か・・・全くもって赤子の政治ニャ・・・。


「さすがに直ぐに信用出来ないので、公爵様と教会で神託を受けて、

確認させて欲しいとの事です」


 あぁ、意外とちゃんとしてるじゃないか。手っ取り早いし、

神託はどんなものか見ておきたかったから丁度いい。


 詰所の様な所で、お茶とお菓子を貰い暫く待たされる。

 味があるのは素晴らしいニャ♪病みつきになる。


『神託は結構、知識としては浸透してるんだニャ』


『たまにアップデート内容を伝達するのに使ってますからねぇ。

 教会には神官がいて、定期的に祈ってるので何か必要なら伝わります♪』


 本当にゲームみたいな世界ニャ。でも便利そうだし利用出来そうだ。


『毎回、相手してたら観測者も大変なんじゃないかニャ?』


『基本無視ですから大丈夫ですよ?』


 心配して損したニャ。もっと働けニャ。


 こんなやりとりをしていると王様からの使いの公爵が現れた。

 私達は貴族街にある教会に行き、祈りを捧げる。


 祈ると直ぐに、真っ白な空間に意識を持って行かれる。

 相変わらず、なんだか神っぽい人っぽい何かがいるっぽい。


『どうも〜♪半日ぶりですね!見てましたよ?

 いやー、行動早いですねぇ。もう王様に謁見準備ですか?』


『聞きたい事があるニャ・・・』


『へ?知ってる事なら何でもお伝えしますよ?

 神の使者でしたっけ?証明もすぐに出しますよ♪』


 ん?今、何でもって言ったよニャ?


『どうやったらお前らを殴れるか教えるニャ』


 ステータスの件、身体の件、装備のデザインの件も・・・

もう許さんニャ。好き放題しよってからに!


『ええええぇ!?無理ですよ?ん?無理かな?無理だと思うけど・・・。

 あれ?でももしかしたらニャレットさんなら・・・』


 ん?ダメ元だったけどもしかして可能性ある?


『いや、でも教えたら普通に殺されかねないのでダメですっ!

 あぁ、でもちょっと殴られたい・・・けどやっぱりダメですっ!!』


 本当にコイツら、何とかしニャいと・・・。

 と言うか、ポロッと重要な事を言ったニャ。コイツら殺せるニャっ!


『それに一応、理由はあるんですよ?ステータスの件は、

説明文は悪ふざけですけどバグは私達のせいじゃないですし』


 悪ふざけって認めたニャ。


『身体の件は、そのままだと攻撃力が無いので拘束されて、

詰んじゃったら困りますし』


 それは一理あるニャ。まぁ悪食あるから大丈夫そうニャけど。


『それにちゃんと装備も、準備しておいたのに気づかない方が悪いです!

 最高に可愛いデザインを話し合ってノリノリで作ったのに!』


 あのデザインはやっぱりコイツらの趣味だったのニャ!

 有罪ギルティにゃ・・・。これから私は観測者を殺す旅に出るニャ。


『とりあえず、証明だけ付与しときますので宜しくです!』


 気づくと、教会に戻っていた。逃げたニャ・・・。


・・・


『証明を付与したって言ってたけど、どう言う事ニャ?』


 私はとりあえずサポちゃんに聞いてみる。


『称号で、【神の使者】が付与されてますね。称号だけ隠蔽解いときます♪』


 やっぱりサポちゃんは有能ニャ。


「称号に【神の使者】が付与された様ですね。

 間違いなさそうなので王に連絡して謁見を手配します」


 公爵は淡々と手配する。

 今日は、もう時間が合わないので明日になった。

 今日はお城に泊めて貰えるらしい。国賓扱いニャ。


 城は立派な建物で部屋も無駄に豪華だった。

 何より食事が美味かった!肉メインだったけど調味料もしっかりと使われている。

 どこからかと思ったらスキルで作った種で何でも作れるらしい。

 塩も海水からスキルで分解。何でもありニャ。


 使者認定されたので、サポちゃんも普通に一緒に食事をしている。



「そう言えば、神託で何話したんです?もぐもぐ」


「奴らは、殺せば死ぬ事が分かったのが一番の収穫だニャ。ムシャムシャ」


「なに殺害予告してるんですか!?ポリポリ」


「残念ながら手段までは分からなかったニャ。バリバリ」


「それは、何よりです・・・。マスターは私すら殺せかねませんしねぇ。カリカリ」


 ん?何だか違和感があるニャ?


「ところでいつも奴らって言ってますけど複数人いるんです?」


 んー、まぁいいか。


「最初あって直ぐに『私達の間であなたは大人気』と言ってたニャ。

 それに、デザインも『話し合った』と言ってたから間違いなく複数犯ニャ!」


「マスター、ほんと無駄に察しがいいですねぇ。ちょっと怖いです・・・」


 そう言えば、あのヤバい能力についてサポちゃんに伝えておこう。


「私の検索能力ニャんだけど、魔改造されてるニャ」


 そう、私の能力はおかしい。


「え・・・まだ強化するんです?もうお腹いっぱいですよ?」

 

 流石のサポちゃんも引いている。

 以前の私の検索能力は『前世の知り得た知識を知れる』

 しかし、今の能力は『過去に知り得た知識を検索出来る』


「例えば、私が今サポちゃんに質問して答えて貰える内容は、

全て検索出来るニャ」


 そう、知る可能性があった内容まで検索出来るのだ。


「まじチートどころの騒ぎじゃないじゃないですか!?

 もう、会話する意味すらないんじゃないです?」


「検索する必要があるから面倒だし会話した方が早いニャ。

 それに会話の意味はそれだけじゃないと最近しったニャ」


 そう、会話とはただの情報交換だけではない。

 猫の時は、慣れすぎて気にならなかった。

 いや、忘れたフリをして誤魔化していたのだ。

 

 猫の私は当然、人と会話出来ず一切の人間社会への関与をしなかった。

 出来なかった。本来、それは人としての必須事項。


 私は人間の人生で、それに疲れて手放し猫になった。

 そして今また獣人として、こうしてサポちゃんとの会話を楽しんでいる。


 私の選択は正しかったのか・・・間違っていたのではないだろうか?

 今の私の能力を持ってしても、その答えは解らなかった。

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