閑話②

〜須藤視点〜


 佐藤にはああ言ったが実はとうの昔に限界は迎えていた。

 

 ダンジョンに潜って1年目。当時は成長限界というものは細々とした噂程度でしか知られていなかった。その中で俺は10層のボスを倒してレベルが上がりにくくなった。レベルが上がったことによる必要経験値の増加では考えられない遅さだ。それにより俺は認めた、いやとうにわかっていた。成長限界がきたのだと。だが俺は諦められずダンジョンに潜りモンスターを狩った。ボスを倒してからはじめてのレベルアップは潜って2年目のとき。


 ついに俺は心が折れた。レベルアップに約1年。上がるたびに更に時間は伸びていく。後輩にはどんどん抜かれ、絶望した。専業探索者はもう無理だ、今後は趣味程度にと考えた。そんな時に俺はとある異常物質を手に入れた。そう、因子強化薬だ。テキストは、


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名称:因子強化薬(3)

ランク:神話

テキスト:因子。それは魂に干渉し、超常の力を入れ込む概念。因子と魂の相性により入れ込める容量が変わる。この薬はその相性を高める。ただし次に服用する時、大きい数字ではないと効果なし。

効果:○×10限界上昇、服用済みの場合、そのレベル分引かれる

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 協会に報告してすぐに服用した。それからレベルはぽんぽん上がった。ああこれでまだまだ行けると思った。いずれまた限界が来るということを忘れて。



 探索者活動5年目。2度目の成長限界に至った。だけどAランクダンジョンまでのボス討伐には問題はないから1度目程悲観しなかったが、未来について考えた。考えた末、面倒を見ている後輩の佐藤とパーティを組んで彼を成長させることだった。


 5年も活動した、あとは後輩を育成し後を継がせ、たまに潜り、災害時手を貸す。そのくらいだ。

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