第413話 ダンナの車

 今日からゴールデンウィーク。人によっては10連休らしいが、私は5月1日、2日が出勤なので飛び石で4連休、4連休となる。

 

 ただ、今日は朝から当番で出勤だったので、厳密に言えば3連休2連勤4連休という状況である。まぁ、今日の仕事は1時間ちょっとで終ったけどね。

 

 今日は昼から市役所でボランティアの定期総会があったので、仕事を終えた後は駅ビルの本屋でしばらく時間を潰した。毒親父の入院中に時間潰しをしていた最寄り駅の本屋と比べると、駅ビルの本屋はかなり広い。品揃えも良いのだろうが、やはりネットで検索する方が手っ取り早い。

 

 結局、何も購入せず、駅で定期を買って、その後、路面電車を使って市役所に向かった。到着したのは12時前……。13時半受付なのであまりにも早すぎる。仕方がないので近くを歩いてみたがはっきり言って何もない。

 

 12時過ぎてもう一度行ったら入口が開いていたので市役所の中に入る。会場は2階だったが、最上階のロビーでしばらく休む事にした。休憩スペースみたいな所を発見したが、すでに先客がいた。どうやら別の区の人らしい。かなり離れた場所に座って、コンビニで買ったパンを食べたり本を読んだりして時間を潰す。途中、謎の外国人女性が来たり、明らかに市の職員ではなさそうな頭にタオルを巻いた職人風のおっちゃんと若い女性がやって来た。

 

 受付を済ませ、会場に入ってしばらくすると、Mさんという女性が私の斜め後ろの席に座って話しかけてきた。どうやら車で来たらしいので、帰りに乗せて行って貰えないかとお願いしてみた。

 

「いいよ、ダンナの車じゃけど……」


 と、Mさんは快諾してくれた。以前にも乗せて帰って貰った事があったのだが、その時は軽自動車だった。ダンナの車ってことは普通車なのかな?

 

 会場がほとんど埋まった頃にIさんという同じ学区の女性がやって来た。Iさんは旦那さんに乗せてきて貰ったらしいが、帰りは誰かに乗せて帰ってもらうつもりだったらしく、いろんな人に声を掛けていたが交渉は難航していた。

 

 私はMさんの車で駅まで便乗する事になっていたが、Iさんは駅からだとちょっと歩くようなのであまり都合が良くない。しかし、他に便乗させてもらえそうな車は無かったので、結局Mさんにお願いする事になった。

 

「Iさんも一緒に乗せてもらって良いですか?」


 と、Mさんにお願いすると、

 

「うん、いいよ。ダンナの車じゃけど……」


 再びMさんはダンナの車アピールをする。別に車種は何でもええわ! と思ったが、ふとIさんが旦那さんに乗せてきて貰った事を思い出して、

 

「もしかして、旦那さんが迎えに来るんですか?」


 と尋ねた。すると、Mさんはさっきからずっとそう言ってるだろうと言わんばかりに頷いた。

 

 いや、あんた、ダンナのお迎え車に便乗させる気だったんかい! もうちょっと分かりやすく言ってよ。もしもIさんが一緒に帰る事になってなかったら、私1人で後部座席に乗って帰るところだったのか。

 

 という訳で、Iさんと一緒にMさん夫妻の車で帰りましたとさ。

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