第407話 書くことについて/スティーブン・キング
今日は先日読み終えたスティーブン・キングの書くことについてという本の感想を書いてみようと思う。
私は現役作家は先生を付ける事にしているのだが、故人と海外の作家は敬称なしとさせて頂いている。自分では気を付けているつもりだが、もしも現役日本人作家を敬称無しで語っていても気にしないようにして欲しい。
さて、スティーブン・キングと言えばモダンホラーの作家として有名だが、スタンド・バイ・ミー、グリーンマイルなど、ホラーでない作品もある。
実際のところ、私はスティーブン・キングの作品をスタンド・バイ・ミーしか読んでいない。先日、図書館で借りようと思ったが知らないタイトルばかりだったので借りなかった。次回は知らないタイトルでも1冊くらい借りるかな。
さて、今回の書くことについてという本。私はてっきり小説の書き方を学ぶ本だと思って読んだ。しかし、中身は子どもの頃の思い出のような話や、デビューまでの貧乏時代の話、嫁さんの自慢話などで埋め尽くされていた。
書くことについて語っている部分も多少はあるが、ほとんど回顧録なので、真剣に小説の書き方を学びたい人にはお勧めできない作品である。
どうやらキングはプロット不要論者らしい。プロットを使って書くと言うのは重機で土を掘るような作業であり、小説を書くのに必要なのはもっと小さなスコップで丁寧に物語を掘り出すことだと、ちょっと抽象的な表現をしている。
物語は土に埋まっていて、作家はそれを壊さないように取り出す。それが小説を書くという事だ、とキングは語る。
アドバイスらしいアドバイスはたくさん読んでたくさん書け、というよく聞く言葉である。後は見た通り、聞いた通りに書けというのも主張の1つである。
「このズベ公!」
という台詞を、これはあまりきれいな言葉じゃないからと、
「この素行の悪い女!」
と変換すると嘘というか誠実ではないと言う事らしい。
キングが執筆の際、AC/DCやガンズ&ローゼズなどのハードロックを聴いているというのは意外だった。一番のお気に入りはメタリカらしい。
キングほどの作家でも、何度も何度も雑誌に投稿して不採用通知を貰っていたそうである。ほとんどが印字されただけの物だったが、中には直筆の寸評が書かれた物もあったらしい。それだけでも飛び上がるほど嬉しかったと言う。
そんな中、編集者からある公式が書かれていた不採用通知があった。その公式に従って執筆するようになってからすぐに注文が殺到するようなことは無かったそうだが、不採用通知の中に、直筆の寸評が増えてきたらしい。
その公式はちゃんと本に書かれているので安心して読んで頂きたい。別にここに書いてもネタバレと言うほどの内容ではないが、全部書くのも無粋なので止めておこうと思う。
という訳で、スティーブン・キングの書くことについての感想を書いてみた。割と余計な部分も多いので、最初から最後まで一言一句漏らすまいと丁寧に読むよりも、摘まみ読みした方が知りたい事だけ拾えるかもしれない。
指南書というよりは自伝っぽい部分も多いので、キングが好きな人やいろんな作家の考え方を知りたい人にはお勧めできる本である。
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