第393話 死ぬの嫌い?
今日は予定通り、朝から歯医者、昼からボランティアの打ち合わせに行ってきた。午後14時には終わってコンビニに寄り、炭酸水とかちょっとしたお菓子類を買って家に帰ってきた。
用事も済んだし、昼間からハイボールでも飲むかと部屋でYouTubeを観ながら酒を飲む。炭酸水が1本無くなるくらいまで飲むと、いい感じに酔いも回ってきて、少し横になっていた。
母が帰宅した気配がしたと思うと私の部屋のドアを開け、
「迎えに来てもらおうと思ったのにラインも無視され……」
と、恨みがましい事を言うのでスマホを見てみると、確かにラインが来ていた。歯医者の後、市内に出かける母を最寄り駅まで車で連れて行ってやったのだが、帰りはバスで帰ると言っていたので全然気にせず酒を飲んでいたのだ。
どっちみち酒飲んだから迎えは無理って返すだけだったが、いつもの癖でスマホをマナーモードのミュートにしていたので、他にも色々届いているのに全然気付かなかった。
よく見ると、昼に打ち合わせをしたボランティアの部長さんからショートメールが届いていた。なんだろう? と中身を確認すると、
『今日はお疲れ様でした~Hさんが、亡くなられていたそうなので、名簿を消しておいてくださいね』
え?! Hさん、死んだの? いや、確かにご高齢だったし、亡くなったとしても不思議はないんだが、それにしてもメッセージ軽すぎない?
しかも文面の「亡くなられていたそうなので」って、おそらく誰かがHさんの家に行ったら亡くなってたって事だよね? まさか第一発見者はその訪ねた人なの?
それとも、訪ねたら家族から訃報を告げられたのかな? そういえば同じ部の人がHさん調子悪そうだったって言ってたが、まさか亡くなるとはなぁ……。
後でそのショートメールを確認しようと思って開いたら、1分後に新しいショートメールが来ていた。
『続いてソフトボールのKさん名前はSだそうです。よろしくね』
何を切り替えとんねん! こっちは頭真っ白やぞ!? 人一人死んどるのに業務連絡続けるんかい! よろしくねって軽すぎだろ。
最初のショートメールもかなりサイコパスな内容だったが、まさかそのまま業務連絡が続くとは……。履歴の時間から考えると、最初のショートメールを送った後、すぐに送って来てるよね。
訃報を聞いてすぐに毒親父にも教えてやったが、毒親父も大してショックな様子は無かったな。Hが先に死んだかぁ~みたいなリアクションだったよ。同じ部にその人より先に亡くなりそうな人がいたらしい。
私はまださほど知人が死ぬって事に慣れていないので結構ショックだったのだが、サイコパスチックなK部長もうちの毒親父も、数えきれないほどの訃報が飛び込んできているので全く動じないのかな?
もしかしたら、周囲の人間が少しずつ死んでいくと、自分が死ぬ事も自然な事だと受け入れられるようになるのかな?
なんかさ、芸能人とかでも、嫁さんが死んで1年くらいで死ぬ人っているじゃん? ああいう訃報を聞くと、死んでも向こうで嫁さんが待ってると思えて安心して旅立ってるのかな? とか思うよね。
私はこれまで割と成り行き任せで生きてきた。これからもおそらくその生き方はあまり変わらないだろう。宇野千代のように「どうやら私は死なないんじゃないかと思っているんですよ」なんて事は言わないが、まだしばらくは生きたい。
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