第343話 Strange Kind Of Woman
週の始まりのある日、朝から気候も良く滑り出しは順調だった。
しかし駐輪場でやけに元気なおっさんが、
「これは外に止めて下さい」
と言って、駐輪場の外に誘導した。あのなぁ、そっちに止めたくないから並んで待ってたんだよ。「ちょっと遠いですが」
分かっとるわ! わざわざ百円払って何でほぼ路駐の外に停めさすんじゃ、このボケが! 瞬時にそんな言葉は浮かんでこなかったので、
「ふざけんなよ」
とだけ言い残して指定された場所に停める。朝から気分は最悪だ。まぁ、今日は雨も降りそうにないからギリギリ許してやるけど次は無いぞ。
気を取り直してホームに向かうと、いつもなら到着している電車が今日も来ていない。また遅れるのかと思ったがすぐに電車が入ってきた。うーん、こないだもこんなこと書いたような気がする……。
先日の健康診断で視力が著しく悪くなっていたのでしばらく止めていたブルーベリーアイというサプリを再開しようかとホームページを開いた。
私は止めていたが毒親父が定期購入していたので長期割引は継続中である。商品のリストを見るとスーパーブルーベリーアイという商品が同じ値段で出ていた。試しに定期購入に追加すると、ちゃんと割引が適用されたのでついでに毒親父のもこちらの商品に変更しておいた。
届くのは十一月の上旬である。少しでも目の為に良いことはやっておいた方が良さそうである。おそらく、老眼と近視が干渉し合って焦点が合いづらいだけだと思うが……。ホットアイマスクも気にはなったが、蒸しタオルで事足りそうなので購入は控えておいた。
軽く絞ったハンドタオルを電子レンジでチンして目の上に乗せると疲れ目に良いと聞き、試しにやってみたが確かに心地好い。視力が回復するって訳ではないが目を休めるのは大切である。これ以上悪化させないためにも出来ることはやっておこうと思う。
週の前半はほぼ残業はない。だいたい木曜日と金曜日に残業することが多い。このくらいの暇な時期に新人を入れておかないと忙しくて殺伐としてしまうので早めに人を入れて欲しい。
なかなか応募が無かったようだがようやく一人面接をして、リーダーと教育係とも顔合わせを済ませたようである。話によると四十代前半の男性らしい。ようやく私以外の男性がやって来たのだ!
写真チェックを専任しているOさんがこっそり面談の様子を見てきたらしく、私のところに近づいてきて、
「なんか優しそうな人だから続かないかも……」
と言ってきた。
ん? その理屈だと私は優しそうじゃないのか? それともまだ一年も経ってないから続いているとみなされてないのか? 私の後に二人も入って来たがどちらもすぐに辞めてるから、私は続いている方だと思うんだが……。
「えっ? じゃあ俺って優しそうじゃないの?」
思わず突っ込んだら、
「江良さんは優しそうじゃない」
ときっぱりと断言されてしまった……。へっ、どうせおいらは江良壮さ。というか平気で断言するこの女も大概だわ。
まぁこのエッセイを読んでいる人は間違いなく私を優しそうとは思っていないだろう。なにしろ毒を吐きすぎなくらい吐くからな。
そもそも優しそうなんて褒め言葉でも何でもないからな。キャバ嬢にネクタイがカッコいいって言われるのと変わりゃしない。優しそうとかどうでも良いから愚鈍な男でなければどんな奴でも良いや。
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