第338話 エレベーターアクション
二日がかりで日曜日のエッセイを書き上げ、ようやく気持ちも落ち着いてきた。細かいイライラポイントは省いたが、それでも四話分にもなってしまった。全部書いたら短編小説一本分位になるだろうね。
とりあえず、もう二度とあのおっさんと組まされるのはごめん被る。思い出すだけで不愉快なのでもう考えないようにしよう。
愚痴エッセイで過ごしたこの平日は特に何の事件もなく、淡々と過ぎ去っていった。いや、月曜日になんかあったぞ。思い出しながら書いてみよう。
定時で職場を出た後ラインを見ると、
「今日の会議は欠席します」
というメッセージを見つける。あれ? 今日って会議だったっけ? 前日の不愉快な出来事ですっかり飛んでいたが第三月曜日は定例会である。その後も次々と遅れますとか欠席しますとかラインが入る。
これまでは毎月スポーツセンターで会議をしていたが、今月から耐震工事に入るため今月は区役所別館大会議室で行なわれる。
以前、チラッとエッセイで書いたあのいわく付きの区役所別館だ。
別の会議で同じ場所を使ったのだが、エレベーターに乗ってうごきはじめた時、突然五階のランプが点灯したのである。
外から押してもランプは点灯しないはずなのでちょっとびびっていたのだが、他の人たちも同じようになったと言ってたので、そういう設定なのかな? とその場はそこで話は終わった。
今日、前回と同様にエレベーターで六階のボタンを押すと、当たり前のようにノンストップで六階に到着した。
……じゃあ前回は? うっすらと寒気を感じながらも、二つあるエレベーターのもう一方がそういう設定なのかもしれないと結論付けて会場に向かった。
休む休むとラインが入ってた割に結構参加者が多かった。会議そのものは問題なく終わり、私はタイミングが悪くみんなの乗るエレベーターに乗れず、次のエレベーターに一人で乗った。
「五階で止まるなよ」
私はボソッと独りごちた。
ウィーン……。
エレベーターは当たり前のように五階に止まった。一瞬、ゾクッとしたが、職員らしき若い女性が乗ってきた。私を見て驚いたような顔をしたが、むしろ驚いたのはこっちじゃい。
もしかしたら一個前のエレベーターが満員でスルーして、今度は私しか乗ってなかったから驚いたのかも知れないね。まぁ、何にせよ霊的なものじゃなくて良かったよ。
さて、結局前回の謎は解けないままだが、悪戯好きの霊の仕業って事にしておこう。……いや、あかんがな!
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