第337話 イライラした一日 その4
ようやく終わりかけた頃、ポケットに入っているはずの自転車の鍵が無い事に気付く。あれ? もしかして自転車に差しっぱなしか? と思い、自転車を見ると鍵が付いていた。良かった、と思ったのもつかの間、それは別の人の自転車で、私の自転車には鍵が付いていなかった。
私は公園中を探し回ったが見付からず、藁をもすがる思いで公民館に落し物が届いていないか確認する。
やる気なさそうな若僧職員がちらっと箱の中を覗いて、
「届いてないっすねー」
と、むちゃくちゃ軽くあしらわれる。
なんてこったい。こんなに不愉快な一日の締めくくりがこの仕打ちかい。予備の鍵があるはずなので母に電話すると、今出先だと言う。私は自転車の後輪を浮かせて自転車を家まで押して帰る事になってしまった……。
これ、小学生の時だったら泣いてるぞ。腕の痛みと今日一日の辛さを思うと生きているのも嫌になる。
しかも家に到着するなり毒親父が、
「戻ったか。ほいじゃ鉄板返しに行くど」
などと抜かす。ちょっと待て(相席食堂風に)。
少しは休ませろや。あんたはあの後ずっと休んでたんだろうけど、私はテントを片付けたり椅子や机を片付けたりしてたんだよ。おまけに自転車を持ち上げて運んだんだぞ。
「自転車の鍵落として持ち上げて運んで疲れとるんよ、もうちょっと待って」
コーヒー一杯飲んで一息つけば回復する程度の疲労感である。
「何で自転車の鍵落すんや?」
毒親父が答えようの無い質問をするので放置していたら、私のちょっと後に帰ってきた母親とごちゃごちゃ話をして気が付いたら二人で鉄板を返しに行っていた。
毒親父は自分のタイミングが全てなので私の回復を待つという能力を有していない。と言うか私の話をちゃんと聞いてないのだろう。いつもそうだ。
突然ドアを叩いてすぐ出発するとか言い始めるのだ。バカか。こっちの都合をちゃんと考えろ、だから毒親父なんだよ。
まぁ私としては鉄板を運ばずに済んだんだからラッキーなんだけどな。老い先が短いから思い立ったらすぐやらないと気がすまないんだな。
という訳で、私の日曜日は最悪の一日になってしまった。本当になんでボランティアなんてやってるんだろう? と自問自答するぐらい辛かったわ。
そして来週は学区の運動会である。
今のままの心理状況では通り魔的な何かをしでかしかねない。今日の事は今日のうちに全て吐き出して、心機一転したいと思う。
こうして四話分のエッセイになるほど鬱憤が溜まる酷い日だったが、これ以上酷い日はもう来ないと信じて前進していこうと思う。
とりあえず、あの愚鈍なおっさんは役に立たんので出禁にしてくれ。
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