第30話 KADOKAWAサクラナイツ その2

 前回に続き、KADOKAWAサクラナイツの紹介をしていこうと思うのだが、Mリーグには現在、八つのチームが参加している。この調子で全チーム紹介すると十六話分のエッセイになるという事だ。状況によっては途中で別の内容のエッセイを挟むと思うが、最終的には全チームの紹介をしようと思っている。

 

 さて、前回は内川幸太郎、岡田紗佳について書いたので、今回は残る堀慎吾と渋川難波について書いていこうと思う。ついでに引退した沢崎誠についても書こう。

 

 まずは堀慎吾。小さな天才と呼ばれるこの男は前述の二人とは別のプロ団体である日本プロ麻雀協会所属の麻雀プロである。内川とは真逆のキャラにも拘らず、ホリガールズと呼ばれる私設のファンクラブがある。なお、会員番号六番は渋谷ABEMASの白鳥翔らしい。

 初年度レギュラーシーズンは個人成績四位、翌年は九位だったがファイナルシリーズで大活躍し、サクラナイツを優勝に導いた。

 

 試合後のインタビューでトップの時には「うれしいです」、ラスの時には「悲しいです」と言うのが定番化しており、名物となっている。インタビュアーのまつかよもあえて「今のお気持ちを一言」と振る。トップの時の恒例となっているのが、至極の一局というプチコーナーだ。半荘を振り返って印象に残った一局を、自著のタイトルに絡めて開設するのだ。ちなみにその本は「麻雀 至極の戦略」という。

 

 優勝した昨シーズン、持病の療養のためファイナルシリーズを辞した沢崎誠の分まで頑張ろうと三人が優勝目指して頑張ったが、ファイナル五日目に路上で転倒して足を骨折してしまう。そんな満身創痍のサクラナイツが優勝した事でよりいっそう感動が強まったのだが、まことしやかにあれは演出だったのでは? という噂が流れたらしい。掘は壇上に上がれなかった為、優勝シャーレを手にしたのは内川幸太郎と岡田紗佳の二人のみとなった。

 

 続いて、今シーズンから加入した渋川難波。彼も堀同様、日本プロ麻雀協会所属の麻雀プロである。魔神という仰々しい通り名を持つが、見た目は藤井聡太のような感じである。これまではMリーグで解説者として関ってきたが、今回ドラフト指名が入り、サクラナイツに加入した。

 

 今シーズンが始まってまだレギュラーシーズン半分くらいなのだが、すでにどん底を経験している。Mリーグ半荘はんちゃん最高スコアを塗り替えた黒沢咲の影で、渋川はなんとマイナス四万七千六百点という不名誉な記録を打ち立てた。

 前述の西単騎の四暗刻を放銃ほうじゅうした内川でさえここまでマイナスしなかったので、今後この記録が破られる事はないかもしれない。

 そんな過酷な半荘を終えた次の半荘、渋川は連投し見事にトップを取っている。

 

 そして惜しまれつつ契約満了となった沢崎誠。沢崎は日本プロ麻雀連盟所属の麻雀プロである。最年長Mリーガーとして活躍した。ちなみに最年少Mリーガーは岡田紗佳である。沢崎誠はその粘り強い雀風からマムシの沢崎と畏怖されていた。が、最近では「まむたん」と呼ばれて親しまれるようになった。

 昨年のレギュラーシーズンではパイレーツの瑞原と個人成績首位を最終試合まで競い合うも、あと一歩及ばず二位となった。

 その最後の試合終了後、一礼を終えてすぐに瑞原に、

「はい、おめでとう」

 と称えて握手を求めた。そのやり取りに視聴者はみな感動した。

 初年度は配牌まで配られるタイプの全自動雀卓に慣れていなかったのか少牌をしたり、何かを見間違えたのかノーテンリーチを掛けたりとミスも目立ったが、かえって「お爺ちゃん頑張れ!」という層を獲得する結果を生んだ。

 

 以上、KADOKAWAサクラナイツについて紹介してみた。Mリーグのスローガンは「この熱狂を外へ」である。麻雀ファンの中ではある程度認知されているMリーグを、まだ麻雀を知らない層へ浸透させていく。それこそがMリーグの役割なのである。そのために最近では試合の途中でテンパイした選手の顔写真の上に待ち牌が表示されるようになったり、難解な麻雀用語をその場で表示するなどの工夫が施されている。

 

 裾野を広げるという部分でこのエッセイも役立てば良いなと思っている。

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