第27話 麻雀最強戦2022
麻雀最強戦とは竹書房主催のプロアマ混合のトーナメント戦である。
一年間に渡り、全国各地で予選大会が行われ、アマチュア最強位が決められる。著名人枠やプロ団体推薦枠もあり、最終的には十六名に絞られて決勝トーナメントが行われる。
Mリーグはリーグ戦でしかもチーム戦だが、麻雀最強戦はトーナメントで個人戦である。年に一度、日本で一番強い麻雀打ちを決めるために開催されるのだ。
麻雀という競技は運の要素もかなり高く、一回勝負のトーナメントで最強を決めるというのはかなり無理がある。にも拘らず、この麻雀最強戦は毎年数々のドラマを生み出す素晴らしい大会になっている。
麻雀をエンターテイメントにするという意味ではMリーグに負けないくらい頑張っており、古い例えだが紅白歌合戦の美川憲一と小林幸子の衣装対決のようだ。
司会進行を小山剛志が行っており、選手入場はまさに格闘技のそれである。Mリーグはどちらかというとサッカーなどのスポーツをイメージしたエンターテイメントだが、麻雀最強戦は格闘技系のエンターテイメントである。
麻雀に偶然の要素がある以上、絶対王者は現われないのが普通である。いくら実力があっても勝てない事はあり、ましてや一回勝負である。強くても理不尽に勝てない事もあるのだ。それでも各々が色んな物を背負って懸命に戦う。
前年度の最強位である瀬戸熊直樹が悲願の優勝を果たした時、実況の日吉辰哉は感動のあまり実況の立場を忘れて涙を流した。画面が切り替わり、司会の小山が映ると、なんと司会進行の小山までもが涙を堪えられずあわや放送事故という状況になってしまったのである。
そして今年、ファイナルトーナメントから進出という有利な状況だったとはいえ、瀬戸熊直樹が見事連覇を成し遂げたのである!!
先ほどから何度も言っているように一回勝負のトーナメントにおいて、二年連続で優勝するなんて事はまずありえない話である。もちろん麻雀最強戦の歴史において連覇を成し遂げたのはこの瀬戸熊直樹ただ一人である。
瀬戸熊の連覇が決まった瞬間、長年の親友でありライバルでもある多井隆晴は解説席で大号泣をした。本気で喜んでいるのが画面越しに伝わってきた。
麻雀界という一見いかがわしい世界で長年に渡りしのぎを削ってきた二人にしか分からない絆の深さを感じる一コマであった。
「良かったぁ、ほんとにもう辞めちゃうかと思ってたよ」
多井のこの一言が瀬戸熊の昨今の低迷を物語っている。
Mリーグではチーム雷電に所属している。現在の成績は残念な状況なのだが、これをきっかけにしてまた通り名である卓上の暴君ぶりを見せてくれるに違いない。
チーム雷電は今、切羽詰った状態である。昨年加入した本田の活躍によって何とか五位を維持しているが、萩原聖人を最低あと五試合出さなければならない事を考えるとかなり大変だと思う。まぁレギュラーシーズンは六位以内に入れば良いので、何とか踏ん張ってもらいたいものだ。
おっと、瀬戸熊を称えようと思っていたのに何だか別の人をディスってしまう結果になってしまった。
とにかく瀬戸熊プロ、連覇おめでとう! Mリーグも頑張れ!!
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