第24話 名曲の無駄遣い - レキシ -

 皆さんはレキシという音楽ユニットをご存知だろうか? 私がこのユニットを知ったのはYouTubeでGoose Houseというソングライター集団の動画でカヴァーされていたからである。Goose Houseで検索してもチャンネルは存在するが、今はPlay.Gooseというチャンネルで投稿しているようだ。

 

 このグループは個々のスキルが高く、カヴァー曲が原曲を超えていると感じさせる曲もしばしば見受けられる。カヴァーされていたレキシの曲はSHIKIBUという曲なのだが、なんとなく古語が散りばめられた歌詞に惹かれ、原曲を探してみた。

 

 検索して出てきたYouTubeの動画のサムネを見てまずはびっくり。レキシ扮する紫式部を貴族の身なりをした八嶋智人が京都の町を追い掛け回すのである。

 その動画のインパクトも凄いのだが、曲が非常に素晴らしかった。Goose Houseのカヴァーに全然負けていない。

 

 YouTubeで検索したら沢山出てくると思うので、ぜひとも一曲で良いから聴いてみて欲しい。冗談のようなタイトルに油断してたらKOされてしまうだろう。

 甥っ子が遊びに来た時に聴かせてやったら、「帰ってからもレキシばっか聴くようになったじゃん」と文句を言われたくらいのインパクトである。

 

 ちなみにYouTubeで出てくるレキシの楽曲は大抵の場合途中でCMとかメイキングなどが挟まれているのでちゃんと聴きたいという人はCDを買おう!

 

 レキシの楽曲は名前の通り、歴史にちなんだ曲ばかりである。中には「墾田永年私財法」なんて曲もある。昔の法律をそのままタイトルにしているのだ。しかもこれが凄く良い曲だったりする。何かの映画のエンディングに使われてそうな曲だ。

 

 クレヨンしんちゃんの映画の主題歌も歌った。そのタイトルは「ギガアイシテル」と言う。めちゃめちゃ良い曲なのだが全然歴史と関係無さそう。しょこたんを思わせるギガという言葉をアイシテルにくっつけた今風のタイトルだ。

 と思わせておいて、なるほど鳥獣戯画か! またこの歌詞がクレヨンしんちゃんの世界観にばっちり合ってるんだよな。以前、このエッセイでも書いたまなまるというピアニストは全編通してしんのすけで歌っている動画を出している。

 

 「きらきら武士」という曲では椎名林檎がコラボしている。レキシの楽曲に参加するとレキシネームを付けてもらえるのだが、椎名林檎のレキシネームは入り鉄砲に出女という言葉から取った出女をビヨンセ風にアレンジしたデヨンナという。

 

 「年貢 for you」という曲も面白い。YouTubeで検索して出てきた動画を観た人は、まさかこの曲がブライダルソングだとは気付かないだろう。焦らす男と待ってる女を中々年貢を納めない農民と待たされている庄屋さんに見立てているのだ。

 

 「狩りから稲作へ」も名曲だ。どうやらレキシのライブでは必ず歌われる曲のようである。歌としても完成度は高いし、会場全員で歌うのにも適している。縄文時代から弥生時代への過渡期という昔と言うには気が遠くなるような大昔の歌である。

 にも関らず現代と変わらないような男女の機微が感じられるラップとサビ。ラップの出だしが「どんぐり拾って食べてた」とネタ感丸出しだが、徐々にその世界観に引き込まれていく事だろう。

 

 名曲の無駄遣いという言葉はレキシに対する最大の賛辞と言える。この発言は「歩いて帰ろう」の斉藤和義によるものである。レキシって見た目は電撃ネットワークのようだが、歌はまともなので騙されたと思って聴いてみてね。

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