第16話 ジタバタするなよ 聖飢魔Ⅱが来るぜ

 兎味ペロリナというタレントをご存知だろうか? 私が初めてこの人、いや、この悪魔を観たのはYouTubeのパチスロ動画だった。初めて見た時の衝撃は、おそらく普通の人とは感覚が違うと思う。

 普通の人の感覚なら、

「なんだこのメイクは?!」

 となるのだろうが、私の感想は、

「エース清水じゃん!」

 というものだった。残念ながら今回の話はマルチタレントの兎味ペロリナについてではなく、聖飢魔Ⅱについて語りたいと思っている。

 

 皆さんは聖飢魔Ⅱについてご存知だろうか? デーモン小暮(現在はデーモン閣下)なら知っているが聖飢魔Ⅱはあまり知らないという人の方が多いかもしれない。

 聖飢魔Ⅱは一九八二年にメジャーデビューした日本のバンドである。

 

 私がこのバンドを好きな理由は、その独特の世界観である。聖飢魔Ⅱというバンド名でさえ「聖なる物に飢えている悪魔が再び蘇る」という意味を持つ。世紀末が近いからと適当に当て字をしただけではないのである(後付けの可能性もあるが)。

 そもそもバンド活動を「悪魔教の布教活動」としており、ファンの事を信者と呼ぶ。コンサートの事をミサと呼び、シングルCDを小教典、アルバムCDを大教典、ビデオ、DVDを絵巻教典、バンドメンバーを構成員と呼ぶ。

 

 タモリと仲が良く、歌番組などで茶化されていたが、デーモン小暮は見事に切り抜けて最後まで世界観を貫き通している。ド派手なメイクも素顔と言い張り、素顔の事を世を忍ぶ仮の姿と呼んでいた。年齢も十万~歳と言い続けており、役所への届出には実際の年齢は書けないので十万を外して申告していると言っている。

 前述した兎味ペロリナもそのスピリッツを継承しており、自らの年齢を永遠の五万十八歳と言っている。

 

 一九九九年に解散すると早いうちに明言しており、一九九九年の年末に三日間のラストミサを行って二〇〇〇年の日を跨ぐタイミングで舞台から姿を消した。

 

 結成十年の記念に創始者であるダミアン浜田を招き、サタンオールスターズというミサを行った。その際、対談をしてダミアン浜田の一番思い入れのある楽曲を尋ねた。少し考えて、

「野獣」

と答えたダミアン浜田。あまりにも意外だったらしくデーモン小暮は、

「野獣ですか? それはまた、なぜ野獣?」

「野獣だからだ。私はアニマルプリントが好きなのだ」

(中略)

「それほど殿下が野獣に思い入れがあるなら、ぜひ次回お越しの際には野獣をプレイして頂きましょう」

 と、その時の対談は終わった。

 

 時は流れて一九九九年十二月三十日。スリーデイズの中日、この日はサタンオールスターズとしてこれまでの構成員が数多く終結し、大いに盛り上がった。

 そしてダミアン浜田も登場し、約束通り野獣をプレイしたのである。ちなみにその野獣という楽曲はそれまで大教典に収録されていなかったので、十周年以降に発売されたメフィストフェレスの肖像という作品に収録された。ダミアン浜田の一言が無ければおそらく日の目を見なかった楽曲である。

 

 もしも少しでも興味を持って貰えたなら楽曲も聴いて頂きたい。蝋人形の館しか知らないという人も多いが、素晴らしい楽曲も盛りだくさんである。

 せっかくなので私の好きな聖飢魔Ⅱの楽曲を何曲か挙げておこう。

 

 地獄の皇太子

 EL・DO・RA・DO

 魔界舞曲

 アダムの林檎

 1999 SECRET OBJECT

 Ratsbane

 The Outer Mission

 ピンクの恐竜

 精神の黒幕~LIBIDO~

 赤い玉の伝説

 GREAT DEVOTION

 デジタリアン・ラプソディ

 BRAND NEW SONG

 MASQUERADE

 HEAVY METAL IS DEAD

 20世紀狂詩曲

 

 とりあえず、一九九九年までの作品から選出してみた。おそらくYouTubeでも聴けると思うので試しに聴いてみてね。

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