第17話 我慢ノ星屑


ゴウレム「改めて自分の罪は傲慢、

与えられた権能は我慢…分かりやすく言えば

好き勝手できる力だな。」




好き勝手、望んだことを何でも

思うようにする…




「その通り、考えを知ろう盗もうと思えば

この通り、心を読むのは容易い」




ゴウレムが私の心を読めたのは

傲慢の権能だったんだ…、




「自由奔放 何でも出来ると聞くと聞こえは

いいが、許された範囲内での自由だから

融通が効かない事もあってね、」




シイナ「そういえば好き勝手させて

もらってるって言っていたけど具体的には

何をしたの?」




「七つの罪は果ての海にて洗いながされる、

もう言うまでもないが、罪は自分達七人の

こと、そして君の予想通りここが果ての海、

ここまで言えば大体わかるかな?」





七廻着海は七つの罪を集める儀式、

そして七つの罪が私達のことを指している

のなら、




「罪の有無 関係なくここに来ること?」



「当たりだ、補足すると今まで君が七つ集めず

に果ての海に来れたのは、

六つ集めた時点で自分が君を通すように

したからだ、」



「まぁ始めから自分がここにいなければ

君は七つの罪を集めただろうけどね」




ということは、コイツがもし気まぐれで

通さなかったら、一生砂漠を彷徨って

たってこと?





ゴウレム「おいおい、どこでそんな言葉

覚えたんだ、コイツだなんて…、」



「というかずっと気になっていたんだが、

君 会話の中で徐々に棘が見えてきたというか

何と言うか、自分への態度 変わってないか?」






シイナ「そんな事よりここへ来たのには理由があるの?」





ゴウレム「そんな事より……、、、」

(敬いが全くない、シイナ…完全に自分を都合の良い何かだと思ってるな)




「ここに来たのは急に情報を入れられる

君を思ってかな」



シイナ(その割に初対面の印象あまり良くない

けど、なんなら何も話す気はないって)




ゴウレム(本当に痛いところを付く、

これ以上干渉して傷つきたくないから

最小限の交流って思ってたんだよなあれ)



「あぁ、さっきの…

一生彷徨うなんてことは絶対にないよ、

自分は必ず君をここに通した。」


「なにせ儀式が終わらなければ一生このまま

だからね、

今の現状を心の底から楽しめるほど

愉快な人間にはなれないよ。」




シイナ「ゴウレムは儀式を終わらせたい?」




ゴウレム「それはもちろん。

こんな大役を背負わされる君達も、

初めからこの旅路みちを進む他無かった

星も、せめて安らかに眠れるよう

先延ばしにはしたくない。」




その言葉はゴウレムの真意だと瞳を見て

感じる。


ゴウレムは全てを知っている、

力を使うことで実質的に七度の旅を終え

あらゆる知識と景色を観ている、


そんな瞳は果てしない暗闇宇宙

切ない灰色未来を見つめていて……、



どこまで権能が使えるのかは知らないけど、

終わらせようと思えばいつだって

儀式そのものを終わらせられるはずなのに……、


終わらせず見届けるのには何か

理由はあるんだろう、



今の私にはゴウレムと同じ景色は見れない、

聞けることは聞いた、なら後は

その景色に辿り着くため旅をするだけ。





シイナ「じゃあいくね、またここで」





ゴウレム「行ってらっしゃい、

気をつけるといい」





ゴウレムを背にして歩く

目の前には水面に立つ灰白色ノ木、


残り四回、四周目に向かって私は進む。


神々しく輝く白い宇宙に触れ、

視界は砂漠へと変わっていく……、その瞬間

今までには無かったパチパチという

脳内で感じるような、全身で感じるような、

音のような、色のような不思議な感覚が襲う。




一瞬一瞬、記録を脳に埋め込まれていく、

これが知識を送られる感覚……、


頭に入ってくる知識は七つの罪とその権能、

それ以外にも、

今までゴウレムから聞いた情報を

丁寧に入れられていく。


分かってはいたけど私達が出会うことは

決められていたんだな…、

運命も必然ということなのか……、


ぼやけた思考も元に戻り焦点は砂漠に向く、

「よし行こう」気合いを入れ歩きだす、

ここまで来れば折り返し、 旅の終わり

も見えてくるころ…にはまだ早いけど

終わりへと近づいてる、

四度目の旅では何を得られるのだろう。


















シイナの背を見送りその場に寝転ぶ、

水面に霧が立ち込め薄暗い果ての海と、その上で綺麗に澄んだ青色の空を眺める。




「これだけ綺麗なを見せてくれるのに、宇宙ソラは君の物では無いんだね。」




それは一方的な独り言、投げかけるその言葉が

その地球に届くはずもなく、





「君を思う気持ちを届ける機能が

あれば良かったんだけど……性能や出力は

足りてるんだけどな……、」





しばらく空を見つめた後身体を起こし

権能を使う、瞳は砂漠へと移動したシイナを

捕え旅の行方を見守る。



「さて……四の旅か、」


四と言うより死の旅か、四周目でシイナが

得るのもは……、



「これまた酷い結果になるだろうな」


自分が話さなかった他の罪についても、

詳しくあの木から入れ知恵されたみたい

だから…精神的には今までで一番…、



進むためにはこの道は通らなければならない、

だから自分は止めることも手を貸すことも

できず、静観するほか無い。





「やっぱり辛いな…、」



こみ上げる気持ちが滴となって

ツンと頬を伝う、



この世に生まれ落ちた時、初めて見た景色は

星空だった、

自分はこの星を生きた人々と同じように

宇宙ソラに憧れそこへ向かうことを

望んだ。


それが権能を初めて使った瞬間、

自分に与えられたのは星々へ向かう力では無く

星へ行く手段、その方法を知ること、

そしてそれを理解するだけの知識、

かつて同じように星々を目指した人類の歴史、

望んだものに関することは全て知れた。




知識を得た後には疑問が生まれ

再び 何故そうなるのか、そうなったのか

知るため権能を使い、

その時は傲慢、と言うより強欲といえるほど

力を使って知識を得た。




歴史から人を知り、星を知り、

生きる者の願いを知り、やがて自分と六人の

存在と、有り様を知った。




人の中には悲しい気持ちを溜め込んで

気持ちを押し殺し

をすると、

溜め込んだが限界に達した時、

そのが止まったり、壊れたり、

或いはその反動で自分奔放、

自分勝手になってしまう事があるらしい。




自分はその逆、望んだ知識を好きなように

知っていき、全てを識って

この旅の行末を知った。

傲慢に進んだ結果、心は止まり

静観すること以外に選択肢の無い自分は

悲しみや哀しみを我慢せざる負えなくなった。






こんな役目を負わせた地球ヒトには

怒りをぶつけてやりたいところだけど、

何より星自身が傷付いているんじゃ

攻めるにも攻められない…、

シイナがどんな選択をするのか

知らない…いや知りたくないが、自分は

諦めて静かに見届けるとしよう………、



これは七人の罪の旅だけでは無い、

この星の迷いと決断の旅でもあるのだから。





我慢は猛毒、身体に悪し、

茨は激痛、進みは悪し、この

茨に毒あり悪しき道。

進めば死にます 締にましょう。






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