第10話 水族館デートの夜
家について、後はダラダラと過ごしていた。
まあ、ダラダラと過ごしていたと言っても、ほとんど愛莉朱が構って欲しい仕草をみせてくるから、結局はイチャイチャしていた。
でも、その方が助かる。
何もしないで過ごすよりも、愛莉朱とイチャついてたほうが楽しいからな。
「ねえお兄ちゃん」
「ん、どうした?」
「今日も一緒に寝て良い?」
「おう、もちろん良いぞ」
「うん、ありがとう!」
どうしたんだろう。
いつもはそんなことあまり聞いてこないのに……。
なんかちょっと期待してしまうじゃあないか。
と、そんなことを思いながら、気づけば夜になっていた。
時間って本当に経つのが早いな。
母さんと玄ちゃんにおやすみと言って、俺と愛莉朱は2階へと上がった。
相変わらず、愛莉朱は俺の手を繋ぎながらついていく。
「ほら、どうぞ」
「うん」
先に愛莉朱を寝かせてあげて、後から俺が布団に潜り込んだ。
俺のベットって、何故か広いんだよな。
別に寝相悪いわけじゃないんだけどな……。
まさか、玄ちゃんたち何か企んでこれにしてるとかないよな?
「よっと……。それで、急にどうしたんだ? 俺と一緒に寝たいって言ってくるなんて珍しいじゃないか」
「うん。あの、お兄ちゃん?」
「どうした?」
「今日の水族館の話なんだけど……」
「水族館? ああ、久しぶりに行ったけど、結構楽しませてもらった!」
「それもそうなんだけど……」
「――――?」
すると、愛莉朱は俺の手を握った。
そして、布団からちらっと顔を出した。
「おっきい水槽で話している時、お兄ちゃんがわたしと居ても全然平気だって、むしろ嬉しいって言ってくれたでしょ? わたし、本当に嬉しかった。わたしもお兄ちゃんと居られてすっごく嬉しいよ!」
「なんだそんなことか。それは当たり前だ。だって、兄妹なのに恋人になろうって言ってくれたのは愛莉朱だろ? あの時、俺も嬉しかった。だから、これからも愛莉朱から離れるのはありえない」
俺はそう言って、愛莉朱を抱き締めた。
女子用のシャンプーって、何でこんな良い匂いするんだろうな?
なんかよく分からないけど、男の本能が目覚めてしまいそうになる。
「お兄ちゃん……。何でだろう、泣きそう……」
そう言った直後、愛莉朱は鼻を啜り始めた。
本当に泣き始めてしまった。
「お、おい……。何で急に……」
「何でだろうね? 急に涙が出てきちゃった……」
何故かは分からないけど急に、か……。
でも、悲しいという意味の涙ではなさそうだと思った。
だって、悲しい意味での涙だったら、愛莉朱は本気で泣き出すから。
そして俺のことをもっとキツく、骨が折れるくらいの力で抱き締めてくるからな。
「嬉しい」
「もしかして、嬉し涙ってやつか?」
「うん、多分そうかも」
愛莉朱は一回鼻を啜ると、話を続けた。
「水族館にいる時に、お兄ちゃんから『全然つらくない』って言ってくれたでしょ? わたし、すごく嬉しかった! だから……」
すると、いきなり愛莉朱は俺にキスをしてきた。
さすがの俺もびっくりした。
普通ならちょっと遠慮がちにしてくるのに、今日は違った。
いつもより積極的になっている。
「んっ……ちゅっ……」
なかなか離れてくれようとはしない。
でも、俺ももうちょっと続けたいと思った。
だって、もっと愛莉朱に触れたいから。
「――――はあ、はあ……。お兄ちゃん……好きぃ」
「愛莉朱……俺も好きだ」
「お兄ちゃん、好き、好き……」
「愛莉朱、好き、好きだ……」
そうやって何度も言っては、キスを繰り返す。
俺の頭の中は、完全に愛莉朱に支配されてしまった。
もう、愛莉朱が可愛くて可愛くて仕方がない。
もっと、もっと……と何度も欲しがってしまう。
「愛莉朱、そんなに俺のことが好きなんだな?」
「うん、もちろん! 好きどころか大好き!」
「そうか。じゃあちょっと意地悪しちゃお」
「えっ何――――ひゃっ! お、お兄ちゃん!?」
もう愛莉朱を誰の手にも渡したくない。
そう思った挙げ句、俺は愛莉朱の首元に、俺の印をつけることにした。
愛莉朱の首元にキスをした。
跡がついても、みんなにバレないような場所にした。
その間、愛莉朱はビクビクしていた。
でも、俺がやりたいことが理解できたのか、逆に甘い声を出しながら受け入れてくれた。
「ん――――はあ、はあ……。どうだ、参ったか?」
「――――お兄ちゃんって、意外と大胆だよね……。わたしも悔しいからやり返しちゃお!」
「ちょっ!? あ、愛莉朱!?」
なんと、俺にやられた場所と全く同じ場所に、愛莉朱もキスをしてきた。
俺を抱き締めながら、吸い付く音が耳元に直接伝わってくる。
もちろん、俺も抵抗する気はない。
自分の気持ちと愛莉朱の気持ち、お互いの気持ちを共有している気がしたからだ。
「――――はあ、はあ……。どう? お兄ちゃん、参った?」
「ははっ、参った参った! 愛莉朱には勝てる自信はないな」
「やったぁ! わたしの勝ち! お兄ちゃん好き、大好き!」
幼い子供のように喜んで、すぐに俺にまた抱きついてくる愛莉朱。
ああ、だめだ。
もう俺が俺じゃなくなりそう……。
マジで本能的に愛莉朱を襲ってしまいそうだ。
でも、それは今は抑えて……。
今はただただ純粋に、愛莉朱とイチャつくことにしよう。
「愛莉朱」
「ん、なあに?」
「明日も遊ぼっか! どうだ? 久しぶりにボードゲームでもやるか?」
「うん! ボードゲームやりたい! あ、でもわたし、今やってみたいやつあるの」
「ん? 何だ?」
「麻雀」
「ま、麻雀……?」
「うん! 前に玄ちゃんとお兄ちゃんやってたでしょ? その時はわたしは見てただけだけど、いつかわたしもやってみたいって思って!」
「そ、そうだったんだな」
まさか、愛莉朱の口から『麻雀』という言葉が出てくるとは思わなかった。
愛莉朱ってまだ中学生だよ?
こんな大人の遊びを教えちゃって良いのか……?
教える分には全然問題ないと思うけど……。
でも、愛莉朱が目を輝かせるくらいだから、付き合ってあげよう。
「じゃあ、明日は麻雀で遊ぼうか! 玄ちゃんと俺と一緒にな!」
「うん!」
嬉しそうに返事をする愛莉朱。
全く、その顔が本当にずるい。
まあ、それが愛莉朱の一番の魅力的なところだな。
よし、しばらくはこのまま愛莉朱とのイチャイチャを楽しむことにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます