第55話 お泊まり会の朝(昼)ごはん2

 皆さんごきげんよう、ナレーションです。

突然ですが筆者様はある時気づいたことがあったそうです。


『あれ……土曜日って意外と読まれない?』


 だそうです。

このカクヨムで投稿を開始されてから、あと3ヶ月ちょっと2年が経とうとしている中、今頃かというように気づいた筆者様でした!

 さて、無駄話はこのくらいにして早速始めましょう!

『大好きな人』に乗せてスタートです!










◇◇◇









 場面は前回と同じ、業務用の商品がたくさん販売されているスーパーに訪れている清太とさくらと雪乃。

こういうタイプのスーパーというのは、店内は意外と広い。

しかし、各コーナーの天井にはジャンルが書かれた看板が吊り下げられているため、安易に乾麺が販売されているコーナーまで行くことが出来た。


「――――」


「――――さくら何してんの?」


「こんなに大きな洗剤も売ってるんだねって思って……」


「もしかして、さくらってこのスーパーに来るの初めてか?」


「うん! すっごく大きくてびっくりしちゃった〜」


「――――っ!」


 しゃがみながら見せるふにゃっとした笑顔、さくら特有のゆったりとした話し方が相まって、清太の心臓は一瞬跳ね上がった。

確かにこれは可愛いですな……とわたくしだけではなく、雪乃もそう思ったようです。

 普通の顔をしたらツンデレ顔なのに笑ったら可愛らしいとか、ギャップもあって最強少女なんじゃないですかね?

――――とわたくしだけでなく、清太と雪乃も思ったようです。


「――――? 2人ともどうしたの?」


「いや……なんでもねぇ。とりあえず、早く買わないとダメだから先急ぐぞ」


「あ、ごめんね! うん、先急ご〜」


 さくらは立ち上がると、清太と雪乃のもとまで、てくてくと歩み寄った。

そして、それを見た2人はこう思った。


((か! かかか可愛すぎる!))


 2人同時に顔を手で覆ってしまった。

しかし、そんなことを思っていることを知らないさくらは、一体どうしたのだろうかと首を傾げた。


「――――2人とも大丈夫?」


「はっ! だだ、大丈夫だ! な、荻さんもそうだよな! ははは……!」


「――――!」


 慌てながら答える清太と、慌てながら首を激しく縦に振る雪乃。

今日は何か様子がおかしい2人に、本当に大丈夫なのだろうかと心配になるさくらだった。

 しかし、こんなところで時間を潰してしまってはいけない!

さっさと乾麺が売っているコーナーまで行かないと!


「お、隣だったぜ。良かった近くで」


 おっと、近いどころかお隣のコーナーだったとは……。

乾麺コーナーには蕎麦やうどんなどの乾麺がずらりと並んでいる。


「す、すごい量の乾麺が――――あ、雪乃さん!」


 乾麺コーナーに入った瞬間、雪乃はすぐに走っていく。

そして、すぐにズザザー! っと滑り込むと、その場所にある一番上にある乾麺の袋を取り出した。

そして、メモ帳に何かを書くとすぐにズザザー! っと2人のもとに帰ってきた。


「お、荻さん……?」


『これが安くて一番美味しい』


「そ、そうなの?」


「えっと……もしかして荻さんって――――田中屋でんちゅうやの常連客だったり?」


「――――っ!」


 ドヤ顔で親指を上に突き立ってる雪乃。

これを見た2人は確信した。

雪乃は、かなりの田中屋の常連客だった。

そのため、この店の商品は何を取り扱っているのかをよく知っている。

そして何が一番コスパが良いのかも。


「さくら」


「ど、どうしたの?」


 清太は頭を抱えながら天井を向いた。

そして、愛する彼女の名前を呼んだ。


「さくら気づいたか? 荻さんは常連客だ。ということは……俺たちは勝ち確だぁあああ!!」


「――――!?」


「荻さん、ネギと麺つゆはあるか!? 安くてうまいやつ頼む!」


「――――っ!」


 気合が入る雪乃。

ただスーパーで買い物するだけなのに、こんなに闘争心むき出しになってますけど……。

一応言っておきましょう、3人はただお昼ご飯の材料を買っているだけです。

普通ならこんなに運動会みたいな一致団結はありません。


「えっとぉ? 2人とも……」


「うおおおお! 荻さん案内頼んだ!」


『合点承知!』


 そんな会話を交わした清太と雪乃は、あっという間に行ってしまった。

まるでゼロヨンのような風景である。

 そんな中、1人取り残されたさくらは……。


「――――ま、待ってよ〜!」


 泣きながら2人の後を追っていった。

颯太の次は、さくらが可哀想な状況になってしまいました……。

全く、さくらを置いていくなんて酷いですわね、ふんっ!

 ちなみに、さくらを置いてしまったことに気づいたのは買うものを全部済ませてからだったようで……。


「ぐすっ……」


「まじでごめんさくら……」


 一生懸命さくらを慰めながら、会計を済ませる清太。

レジの店員もさすがに心配になったようで、


「あの……大丈夫ですか……?」


「いやぁ〜……何とかします……」


 ぼろぼろと涙を流すさくらを見ながら、苦笑いをして答える清太。

清太と雪乃は、さくらに何度も謝ったそうです。

そして、さくらが泣き止むまで相当な時間を費やしましたとさ。










◇◇◇










「はあ……やっと着いたぜ」


 顔色を悪くしながら帰ってきた清太。

左側にはまだ涙が収まりきっていないさくら、彼女の左側には普段通り無表情な雪乃がいる。

 スーパーを出てからも、なかなか泣き止まないさくらをずっと慰めていた2人は、さすがに体にきてしまった様子。

雪乃は表情には出ていないものの、心の中では……。


(――――疲れた……)


 げっそりしています……。

でも、こういうところが彼女らしくとも思ってしまう雪乃。

清太がずっと苦労してきた気持ちが良く分かった気がした。

 やっとの思いでエレベーターの前まで来て、そしてボタンを押した。

扉が開くとトボトボと中に入り、壁によりかかる清太と雪乃。

もう『ムンクの叫び』のような表情になってしまっています……。

そんなことも知らず、エレベーターのボタンがある場所で鼻を啜るさくら。

もう何でしょうね――――すごい現場になってます……。

言葉で表現できないくらい、すごい空気になってしまっていますよ……。


「「――――」」


「ぐすっ……」


『3階でございます』


 ただエレベーターのアナウンスだけが虚しく聞こえ、扉が開いた。

3人はエレベーターから出ると右に曲がり、颯太と渚の部屋へ。


『ピンポーン!』


 雪乃がインターホンを鳴らすと、部屋からドタドタと足音が聞こえた。

ガチャッ! と扉が開くと、そこには渚がいた。


「おかえ、りなさぃ……。さ、3人ともどうしたの……?」


「いや……ちょっと色んなことがあって……」


「――――とりあえず入る?」


「ああ、ちょっと休ませてくれ……」


「――――」


 雪乃もこくこくと頷いた。

一瞬だけ、彼女の表情が疲れ切っていたことに気づいた渚は、すぐに3人を中に入れた。

清太と雪乃はリビングに着いた途端、その場に崩れ落ちるかのように座ると、魂が抜けたような顔になった。

そしてさくらはというと……いつの間にか泣き止んでいた。


「――――なぎさちゃん、2人何かあったの?」


「みたい……」


「そ、そうなんだ。僕の前に来た途端崩れ落ちたからびっくりしちゃったよ。それでえっとぉ……さくらちゃんは大丈夫?」


「うん……」


 さくらは返事をしたが、いつもとは違う感じがした。


(もしかして、ちょっと怒ってる……?)


 あのさくらが、眉をちょっと寄せている顔を見るのは初めてだった。

頬も少しだけ膨らんでいる。


「さくらちゃん、何かあったの?」


「ううん、何もないから大丈夫」


「そ、そう……」


 颯太と渚は目を合わせた。

明らかにお使いをしている時に何かあった様子だと確信した。


「さくらちゃん、今はここの2人は聞こえていないだろうから話してみて。僕たちで解決できるかもしれないから」


「うん、力になるよ!」


「――――清太くんがわたしを置いていった」


「「――――ん?」」


 さくらは不満そうにしながら2人に話す。

どうやら、自分を置いて雪乃と一緒に買い物をし始めたことが嫌だったと。

 それを聞いた颯太と渚は、


(ああ、これはやらかしたなぁ清太……)


(これはやらかしちゃったね清太くん……)


 さくらに同情しつつ、嫉妬するさくらがちょっと可愛いと思ってしまった笠間夫婦なのであった。

 ということで、次回こそちゃんとお昼ご飯を食べます!

お昼ご飯よりもっと大変な事件が起こってしまいました……。

 おっと、どこからか『ドキドキ!』が聞こえてまいりました。

では、また次回お会いしましょう!

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