第54話 お泊まり会の朝(昼)ごはん1
さて、雪乃が颯太を抱き枕にしているところを見てしまった渚は、しばらく颯太のことを知らんぷり。
「な、なぎさちゃん違うんだって! 荻さんが寝ぼけて僕のことを抱きまくらと間違っちゃっただけだから!」
「ふーんだ。どうせ荻さんのおっきな胸に興奮してたんでしょ? ごめんなさいね、わたし小さくて」
「違うってぇ……。うぅ、終わった」
颯太は渚を説得させようと奮闘するが、そっぽ向いては頬を膨らませる。
これの繰り返しで、全く解決する兆しが見えない。
だからといって雪乃に助けを求めようとすると……。
「――――」
「えっ、荻さん何か反応して! じっと見られても困るだけだから!」
ただ颯太と渚の2人を見つめるだけで、その場所に立っているだけ。
文字を書くどころか、反応すらない。
だからと言って、雪乃が颯太を抱き枕にしていたところを見た第一人者、清太に助けを求めようとすると……。
「まぁ、意外と颯太はそういうのに興味あると思うぞ。もしかしたら、鼻を伸ばしてたかもしれんな」
「ちょっ! それは絶対ありえないから!」
「そうたくん……やっぱりそうだったんだね……」
「だからなぎさちゃん違うよ!」
起きた瞬間から、面倒事に巻き込まれてしまう颯太。
あーあ、颯太くんやらかしてしまいましたね……。
と言っても、ほぼ事故ですけど。
ただ、その状況を知っているのはわたくしと読者の皆様、そして雪乃だけです。
でも主犯の雪乃はというと、
「――――」
何もしてない、知らないとでも言うように、ちょっとだけ違う方向に顔を向ける。
そのせいで、颯太の疑惑はさらに増えるのであった。
前回も言いましたが……颯太くん本当に可哀想!
「――――あっ、そうだった。もうお昼だもんね」
「みんなで何か食べよう! みんなは何が良い?」
「もうすでに暑いしなぁ〜。冷たいそうめんとかどうだ?」
「良いねそれ! あっ、確かさくらちゃんと荻さんって料理出来るよね? 手伝ってもらっても良いかな?」
「うん、もちろん!」
「――――!」
みんなで料理、2人とも気合十分の様子。
そして、疑惑が晴れなくて頭を抱えながらガタガタと震えている颯太。
彼のもとに、渚が歩み寄った。
「そうたくん、そんなに悩まなくても大丈夫。ちょっとわたしがからかいすぎちゃった。ごめんねそうたくん……。ただちょっと、嫉妬しちゃった」
「なぎさちゃん……。あはは、なぎさちゃんでもそういうことで嫉妬とかするんだね」
「だ、だって女子からしたらそういうのって羨ましいなって思ったりとかするし……」
「そっか。でもね、1つだけ言うとすれば……」
すると、颯太はそこで言葉を区切ると、渚の耳元に顔を寄せる。
何かあるのだろうかと、渚は颯太の口元に耳を傾けた。
そして、彼は渚にこう囁いた。
「僕は、なぎさちゃんのが一番好きだよ」
「〜〜〜〜〜っ!?」
それを聞いた瞬間、渚はあっという間に全身がオーバーヒートしてしまった。
そして硬直したまま颯太に向かって倒れてしまった。
「おっと! な、なぎさちゃん大丈夫!?」
「へなななぁ……」
問いかけてみても、顔を真っ赤にして目を回したままの渚。
どうやら、思った以上のクリティカルヒットを食らってしまったようです。
「颯太お前……渚ちゃんに何言ったんだよ?」
「えっ、僕は普通になぎさちゃんのことを褒めただけで……」
「はあ……このおしどり夫婦はもう対処出来ねぇな……」
「えっ、えっ?」
あまりのイチャつきと仲の良さに、やれやれとお手上げ状態になってしまった清太なのであった。
しかし、とりあえずは買い出しに行かなければならない。
色々話し合った結果、渚の面倒は颯太が見ることになり、残りの3人で買い出しに行くことになった。
「買うものは俺たちで勝手に決めて良いか?」
「うん。ごめんね、お願いします」
「任しとけ! あと、目を覚ましたらちゃんと渚ちゃんに謝っとけよ?」
「うん、そうするよ」
父親? と思ってしまった颯太。
しかし、そうじゃないと彼の隣にさくらはいない。
保護者っぽい感じが、さくらにとって惹かれる部分なのだろうと思った。
「んじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃ〜い」
手をぱっと上げて合図を送る清太。
さくらと雪乃も颯太に手を振り、玄関を出ていった。
「さてっと、なぎさちゃんは……あ、気がついたかな?」
玄関で3人を見送った後、すぐに颯太は渚のもとへ。
どうやら、すぐに目覚めたようだ。
「な、なぎさちゃん……大丈夫?」
「そ、そうたくん……。わたし……あ、そうだった。倒れちゃったんだよね」
「うん、ごめんねなぎさちゃん。急にあんなこと言っちゃって……」
「ううん、大丈夫。ただ……嬉しかった」
「そうなの?」
「うん。だけどあんなこと言われたら、わたしがわたしじゃいられなくなっちゃうから程々にね? でも、わたしとそうたくん2人きりだったら何時でも言っても、良いよ……?」
「――――じゃあ今2人きりだから良いよね?」
「えっ、ま、待って!? 確かに今2人だけど早すぎるよ!」
結局、颯太は清太たちが来るまで言いまくったとさ。
罪な男です。
でも、渚はずっと嬉しそうな顔をしていたので、まあ良しとしましょう!
◇◇◇
さて、視点は清太たちへと変わります。
こちらは完全に2股みたいに見えます。
全然違うんですよ?
ぜんぜん違うんですけど、なんか2股してるみたいに見えるんです。
「――――」
雪乃はちらっと隣の人を見る。
そこには雪乃の初恋相手だった清太がいる。
見た目はヤクザ、チンピラだが、根はすごい優しくてまるで保護者のような性格を持つ彼に、雪乃は思ってもいなかった。
しかし、彼には矢野 さくらという大人しくて泣き虫だけど誰にでも優しい素敵な恋人がいる。
そんな人がもう1人いたら、自分はまた今まで抱いてこなかった恋愛感情というものをまた感じることが出来るのに……と思った。
「ね、ねえ清太くん?」
「どうした?」
「そういえば……お金はどうするの? わたし一円も持ってきてない……」
「安心しろさくら。俺はいつも財布を持ち歩いているからな。5000円は絶対に持ってるから大体のものは買えると思うぞ?」
「本当!? じゃあ次会った時にちゃんと返すね!」
「おう、分かった」
本当はいらないと言いたいところだが、さくらの性格上絶対に払うと言ってくると分かっている清太。
ここはちゃんと返してもらうことにした。
「そういえば、雪乃さんはお金持ってきてるの?」
さくらにそう聞かれた雪乃は、ポケットから財布を取り出して見せた。
何故か自慢げな顔をしながら……。
「わ、わたしだけ持ってきてない……。うぅ……」
「ちょっ、泣くなってさくら。大丈夫だから気にするな。返してくれればそれで良いからな」
「うん……。ありがとう」
清太はさくらの肩をポンっと置いて慰める。
雪乃もさくらの背中を優しくポンポンと叩いた。
そうこうしている間に、3人はスーパーに着いた。
スーパーといっても、よく見るスーパーとはちょっと違う。
ここは大きなものが多く売っている、いわゆる業務用の商品を取り扱っているスーパーである。
「
「ああ、確か前来た時にでっかい袋に入ったそうめん売ってた気がしたから来てみた。ついでにネギとかもここで買っちまおう」
「うん!」
ということで、次回はみんなでお昼ご飯を食べます!
そうめん美味しいですよね!
わたくしそうめん大好きなんですよ!
やっぱりそうめんは氷で冷やして、冷たい麺つゆにつけて食べるのが一番ですね!
ではお時間となってしまったので、また次回お会いしましょう!
EDソングは『ドキドキ!』です!
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