第5話 2人が結婚するまで3
「ここが、渚さんがおすすめするレストラン?」
「うん! じゃあ早速入って食べよう!」
「うん、楽しみだなあ!」
そう言って、2人は渚がおすすめするレストラン『YAMAZAKI』の中へ入った。
さあ! 昼食デートの始まりだあ!
わたくしナレーションはドキドキしまくっています……!
何故なら……この作品が更新されたのが久しぶりなものなので。
久しぶりのこの感情……とその前に、会場を移動しましょう!
◇◇◇
皆さん明けましておめでとうございます!
2023年始まりましたね。
今年の抱負は……一生懸命ナレーションすることです!
さてさて、この2人にも今年の抱負を聞いてみましょうか。
まずは……主人公の風間 颯太くん!
「は、はい! えっと……まずは、明けましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします! 今年の抱負……そうですね、今年も1年間、渚ちゃんを幸せにします!」
「そ、そうたくん……!」
はーい、じゃあ隣で愛しの颯太くんを惚れ惚れとした顔でじっと見ている三井 渚、いや、笠間 渚さん!
「そんなにはっきり言わないでください! は、恥ずかしいですから! えっと……これからも、そうたくんのお嫁さんとして支えていき……ます……」
「な、なぎさちゃん……」
「そうたくん……」
「なぎさちゃん……」
「――――」
「――――」
――――はい、ということで……こ、これ以上見せると読者全員が暴走してしまうので、そろそろお開きにします!
以上、お2人の抱負インタビューでした!
では、さきほどのシーンに戻りましょう!
早く早く!
映像担当のスタッフさん早くシーン切り替えて!
◇◇◇
「いらっしゃいませー……あら、渚ちゃんじゃないの。今日も来てくれてありがとね」
「山田さんこんにちは。今日も来ちゃいました!」
「あら、あららら? もしかして……彼氏さん?」
「――――!? ち、違いますよ! 颯太くんは友達です!」
「あらあら、隠さなくてもいいのに。おほほほほ……!」
「もう! だから違うんです!」
戻ってこられましたね。
スタッフの皆さんお疲れ様です。
気品あふれる雰囲気があるこの叔母様は、山田 雅子といい、このレストランで働いている。
渚はここを毎日訪れる常連客。
そのため、このレストランの店員全員が渚のことを知っている。
ここで働いている従業員は高齢の方が多い。
美人で可愛らしい容姿、そして優しい性格を持っている渚を自分の孫のように可愛がっているのだ。
特にお祖父様たちには大人気なようで、
「おお! 渚ちゃんいらっしゃい!」
「あっ、山崎さん! こんにちは!」
厨房から出てきた老人は、山崎 和夫という。
このレストランの店長で、渚をアイドルのように推していている且つ孫のように可愛がっている……変態である。
「だ、誰が変態だって!?」
「「「――――!?」」」
「あっ……おほん! 脅かしてすまない。渚ちゃん、今日も同じやつで良いのかい?」
「はい! それを2つお願いします!」
おお怖い……。
和夫は若い頃はボンタンに短ラン、中身は赤いシャツを着ていたくらいガチガチのヤンキーだった。
怒らせるとヤバいのです……。
「2つ? あら、隣の男は初めて見る顔だな」
「は、初めまして! 渚さんの友達の笠間 颯太です!」
深々と丁寧に挨拶をする颯太。
その瞬間、和夫は颯太の目の前まで歩み寄った。
颯太は思わず身を引いてしまった。
まあ、そりゃそうでしょう。
颯太の目線から見たら、和夫の目は赤く鈍く光っていて、今にでもビームを出しそうな雰囲気がありますから。
それに加えて、背後には相当な大きさと勢いがある炎が燃え盛っているわけで……。
「ちょっとだけ……話をしても良いかな……?」
「え……? ああ……」
颯太の左肩に手をポンッっと置き、ちょっとだけ力を入れて掴む和夫があまりにも恐ろしすぎて言うことを聞くことしかなかった颯太。
渚と雅子に向けて伸ばした手も虚しく、ずるずると和夫に引きずられて連れ去られてしまった。
颯太……達者でな。
「はあ、全く……。店長は渚ちゃんのことになったらすぐにこれだから困ったものだわ……。ごめんなさい渚ちゃん。後できつく言っておくわね」
「あはは……」
渚と雅子はお互いに苦笑しながら、取調べしているように座る和夫と、叱られて落ち込んでいるように見えてしまう颯太を見ていた。
「今はお客さんいないし、品が出てくるのももうちょっとかかるみたいだから……。2人のお話が終わるまで、女同士の話をしましょう」
「は、はい! ぜひ!」
渚と雅子は真ん中のボックス席に座り、2人の女子会を開催することに。
では、男子組と女子組の会話を覗いてみましょうか。
◇◇◇
まずは男子組。
こちらは激しい戦争状態……と言うより、一方的に和夫が颯太に尋問していた。
まるでヤンキーがサラリーマンを恐喝しているみたいな感じだ。
「ん? もう一度言ってくれ」
「ええ……? だから、渚さんとは友達なんです!」
もうかれこれ10度くらい同じことの繰り返し。
普段はそうそう怒らない颯太でも、苛つき始めていた。
「はあ……。僕は渚さんと付き合っていないです。ただ、帰りに助けてくれたことがきっかけで話すようになっただけです」
「――――分かった。今はそういうことにしておいてやる」
ガクンと頭を落とす颯太。
和夫は、想像以上に頑固で自分の主張を曲げない男だった。
「で、本当のところはどうなんだ? 男なんだから、渚ちゃんがいつも隣りにいて何も思っているわけでもないんだろ?」
「――――! そ、そんなの何とも思ってない……ですよ?」
和夫の言葉にドキッとした颯太。
確かに、今日だけでもわたくしが鼻血が出てしまうほどの甘すぎる展開があった。
そんな場面がたくさんあった中で、颯太はスポーツ専門店のことを思い出した。
渚を置いていってしまい、探そうと角を曲がろうとした瞬間、渚とぶつかってしまった。
体が密着した状態で、上目遣いで自分を見てきた渚の顔が頭の中に思い浮かんできた瞬間、颯太は顔を赤くし、どんどん語尾が小さくなっていった。
そんな颯太を和夫は見逃さなかった。
「――――颯太くんは……渚ちゃんのことが好きなのか?」
「――――!? そ、それはないです! こんな僕が渚ちゃんのこと好きになるわけ――――」
「なら! 何故、渚ちゃんは颯太くんの傍に居続けているんだ?」
「えっ……?」
和夫の問いかけに、颯太は驚いた。
和夫は組んでいた脚を反対の脚に組み替えた。。
「男女が休日に、しかもこんなに仲良く遊んでいるのに、颯太くんは何も思っていないのか?」
「それは……。でも、渚さんは僕のファンだって言ってくれました。ファンということは応援してくれる人のことを言うんですから、渚さんにそんな感情は持ってないと思います。それに、渚さんは僕が通っている学校で一番の美少女だって唄われています。それに対して、僕は学校のみんなからあまり良く思われていないんです。そんな高嶺の花の渚さんが、僕と釣り合うわけないですよ」
颯太は目元を暗くしながらそう言った。
それに対して、和夫はため息をついた。
「ここだけの話だが……。渚ちゃんはな……男友達なんて一回も作ったことなんてないんだ」
「――――えっ?」
和夫の口から出た言葉に、颯太は大きく目を見開いた。
友達が多そうなイメージがあった颯太からすれば、それは衝撃的だった。
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