一章 四大国家 イオクニ
記録5 最初はどこに行きましょうか?
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旅の一日目
今日から日記をつけることにした。
これまで色々とあったがなんとか旅に出ることができた。
とりあえず今日は―――
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で、旅に出たのはいいけど最初はどこに向かうんだ?
村が見えなくなる程に歩いた中、自分たちはどこに向かうか話していた。
「最初から『イオクニ』を目指してもいいが、最初はその中間にある『人形の国』を目指すよ」
『人形の国』、どうしてなんだ?
「どうせ行かなくちゃいけないからだよ」
意味が分からんが。
まあ行けばわかるさ、と言いヒースは地図を開きながら歩き続ける。
ちなみに『人形の国』ってどんなとこなんだ? まあ名前を聞く感じ大体分かるんだけど。
無言で歩くのは少々どうかと思いヒースに『人形の国』について聞いてみる。
「人形作りが盛んな国だよ、周辺に人形作りに必要な材料がそろっているから最高の人形を作ろうと多くの人形師が集まってできた国なんだ」
へえー、なら人形の種類も結構あるのか?
「あるある、自分の究極の嫁を作るのに日々同業者と切磋琢磨してるらしいぞ」
何があったら俺たちはそこに行かなくちゃいけないんだよ……
「諦めろ」
えぇ……
どうして最初に行く場所が素人お断りしてきそうな国なんだどっか近くに村はあるだろ、せめてあってほしかった。
そんなことを考えていると前方に『人形の国』へと続く森の道が見えたため色々と不安はあるが森の中へと入っていった。
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あれから日も落ち暗くなってきたため森の中で野宿することにした。
魔物の気配もなく野宿には慣れてるため特に問題もなく寝るにはまだ早いため今後のことについてゆっくりと話すことにした。
とりあえず今の目的は『人形の国』に行ってその後は『イオクニ』に行くで変わりはないな?
「ああ、それで間違いないよ。 問題が起こらなければ変更はないよ」
ヒースはそう言いコップに入ったホットミルクを一口啜る。
ところで話は変わるけど旅の準備期間中お前の言われた通り先生から回復魔法を教わったよ。
「まじか、頑張ったな」
まあそれなりに。
自分は回復魔法を習得する経緯を振り返る。
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『旅のためにやっておいた方がいいことだって? あー、それなら回復魔法とか補助系の魔法を取得してみたら先生に頼めば教えてくれるでしょ?』
ことの始まりは旅の準備中ヒースに聞いた時だった。
旅が初めての自分は弓以外にも何か習得したほうがいいのではと考え転生者であるヒースに聞いたところ魔法を習得してみればと返答が返ってきた。
……え、そんなことできるの?
当時の自分はそう思った。
メインに使っている弓と両立できるのか些か不安だったがヒースが続けて言う言葉で納得ができた。
『メインジョブはアーチャーでサブがヒーラー、どちらも遠距離でいけるから意外といい組み合わせだよ。 それに簡易的な回復魔法は魔力の消費量も少ないし発動もそう難しくないからお前なら両立も行けると思うよ』
そういうわけで早速自分は先生に回復魔法を教わりに行ったのだが。 ヒースは両立はできると言ったが習得は簡単とは言ってない、つまりあれだ……すごく大変でした。
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つらい訓練のことは思い出したくないため顔を横に振り一旦落ち着きヒースに話をふる。
ヒースはどうなんだ?
「俺は戦闘に使えるコンボの練習かな、剣と魔法の組み合わせはたくさんあるからな宝の持ち腐れにはしたくないよ」
ああ、確か魔法剣士目指してるんだっけ?
「まあね。 さてそろそろ話を終えて寝ようか、明日のために十分休んだほうがいいし」
どちらもコップも空になり時間もちょうどよく経っているため見張り役と寝る人で分けて代わりばんこで夜を過ごした。
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―――とまあ色々とあったが無事一日目を終えることができた。
それにしてもなんだろうか、日記を書いているときから霧が出始めてきているような。
まあ代わる際にヒースに聞いてみよう。
明日は『人形の国』に着ければいいな。
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翌朝
自分たちは今霧が濃い森の中を歩いている。
正直視界が悪い時に歩くのは得策ではないと思うが、だいじょぶだいじょぶ行ける行ける、とヒースが言い止まることもなく先頭を歩いている。
昨日の夜代わる際に霧のことについて聞いたがなんもないただの霧と答えてくれた。
それにしても濃すぎでは?
夜の時の霧と比べて今の霧はあまりにも濃すぎている。 ヒースのそばにいないとすぐに見失ってしまうぐらいに。 そして微かにだがこの霧から魔力を感じる、あまりにも薄すぎるから気づかなかった。
「リーフ、お前も薄々気づいてると思うがこの霧は魔法によって作られた霧だ。 条件を満たせば効果を発動する魔法なんだが今の俺達には関係ないからただの霧なんだよ」
自分が思っていたことにヒースは察したのか霧について話してくれた。
話を聞いた自分は恐る恐るヒースに確認した。
なあヒース、もしかしてなんだが……俺たち罠にはまったんじゃないのか?
「どうせはまるぐらいならこっちから行った方がいいじゃない?」
ヒース……
こいつ知ってて黙っていたな。
「ほら、着いたよ」
そうしているうちにヒースは立ち止まり後ろの自分に報告する。
後で覚えてろよと心の中で吐きヒースの隣に立ち彼の見ている方向を視界に移した。
城壁で囲まれた国『人形の国』、その入り口には門番の姿がどこにもなく入り口が開きっぱなしとなっていた。
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