記録2 BOSS戦経験値アイテムダブルマシマシ

 ボス戦、そこらにいるモンスターより強く体も大きいため存在感が強く出ている者。

 ステータスも高く能力も違うため一瞬の油断が命取りとなるが倒せば大量の経験値とレアなアイテムがドロップするため戦う価値があると前ヒースに教えてもらった。

 ちなみにこれは『げーむ』からの情報だ。

 ほんと『げーむ』というのは何なんだろうか色々と教えられるたびに謎が深まっていく。



 現在ヒース案内で遺跡の方へ走っている。

 

 ヒース、さっき言っていた『ボス戦』があるなら先生を呼びに行った方がよかったんじゃないか?


 道中自分は思ったことを口にする。

 どうせ戦うんだ、先生をよんで少しでも戦力を増やした方がいいと思うが。


「そこは大丈夫だ、どうせあっちも痕跡を見つけてこっちに来る。それに今は少しでも時間を短縮したい最悪な事態は避けたいからな」


 そうか、なら――「隠れろ」


 その言葉と同時に自分たちは隠れられそうな茂みに身をひそめる。


『――――!!』


 少し距離はあるが複数のゴブリンの声が聞こえてくる。

 気づかれないように顔を出し様子を確認する。


 遺跡の真ん中で火を焚いて騒いでいる奴が4、5匹ほど。 その奥に座っている奴がボスかあれは……エースゴブリンか、近くに救出対象はいないな。


 補助魔法『ズーム』である程度確認し『ズーム』切ってまた隠れる。


「でも近くにいるはずだ。 俺が奴らを引き付けるその間にリーフ、娘さんを見つけろ」


 いくらヒースでも流石にきつくないか?


「安心しろ慣れている。 それに娘さんを人質に出されてしまったら手も足も出せない最悪な状況になってしまう、それだけは避けたいからな。 あと隠密系のスキル持ってるのお前しかいないし」


 あーうんそうだな。 はぁ……できる限り早く救出する死ぬなよヒース。


「ああ、お前の方こそヘマして死ぬなよ」


 互いに言葉を交わしてニヤついた後それぞれ行動を開始する。

 自分は攫われた人の救出、ヒースは敵の陽動を。


「おいおいくそったれゴブリンども! 火遊びなんかより俺と遊ぼうぜ!!」


『――――!!』


 ヒースの大声を合図に気付いたゴブリンたちは叫びをあげ武器を手に取り襲い掛かろうとする。


 その間に自分は隠れながら回り込み敵に気付かれないよう遺跡に侵入する。





 

 さてさて、どこにいるのやら。


 遺跡に侵入できた自分はゴブリンに気付かれないようスキル『狩人の足』を使いながら隠れて探し回る。

 ここの遺跡は石材の小さな家が複数と半分ほど損傷した少し大きな家で構成されている。

 

 ……くそ、ここでもないか。


 聞き耳を立てながら探し回るも見つからず残りは損傷した家だけとなった。 しかし、その家の前にはエースゴブリンが座っている。

 スキルを使っていてもあそこに入るのは難しいと考えどうしようか悩んでいると。


「『ファイアボルト』!」


 エースゴブリンの顔面に赤い閃光がぶつかり小さな爆発を起こした。

 声からヒースが放った魔法だと分かるが相手にダメージを与えたかというとそうでもなかった。

 防がれていた、魔法が当たる瞬間に盾を構え致命的なダメージを避けていた。

 構えを解いた奴は静かに立ち上がりヒースの方へと歩き出した。


 よし、今ならいける!


 奴が家から離れたためこのチャンスを逃がさないよう急いで中へ入る。

 中は荒れていて少し探索すると地下へと続く階段を見つけた。

 

 どうやら当たりのようだな。


 気づかれないよう中を覗くと地下は牢屋になっていて2匹のゴブリンが見張りとして立っていた。

 様子を見るに警戒ではなくただ呆然としていたためゆっくりと階段を下り視線に映らないよう壁を背に隠れ矢筒から矢を二本取り出し弓につがえる。


『ダブルショット』


 体を出し2本の矢を射出する。


『――――ッ!?』


 矢は2匹のゴブリンの頭に刺さりそのまま絶命し倒れる。


 さてさて鍵はっと……よし、これだな。


 牢屋の鍵と矢を回収し扉を開ける。

 中には救出対象の少女が気を失ったまま倒れており無事を確認した後担いですぐにここから抜け出す。



「オラオラ、もっと来いよお前の力はそんなもんじゃないだろ!」


『――――!』


 外に出ると遺跡の真ん中でヒースとエースゴブリンが戦っていた。

 しかもよく見ると家の上から弓を持ったゴブリンからの狙撃をヒースは少ない動きでかわし同時にエースゴブリンの攻撃に対応しているため戦況は五分五分となっていた。


 俺必要なくね? と一瞬頭の中でよぎるが直ぐに頭を切り替え背負っている少女を安全地帯に運ぼうと遺跡から離れる。


 とりあえずここなら先生たちも気づくだろ、さっさと加勢して先生が来る前に終わらせないとな。


 少女を安全な場所に置きモンスターが嫌う臭いを発する臭い袋を木に吊るした後ヒースの加勢をするため急いで遺跡に戻る。


 





 ヒース大丈夫か!?


 遺跡に戻ると未だに戦闘が続いており、前方にヒースの後ろ姿が見えたためヒースに声掛けをし隣に立つ。


「リーフ、案外早かったじゃないかあと40分ぐらいかかると思ったぞ」


 どんだけかかると思ってたんだよ……とりあえず娘さんは安全な場所に運んでおいたこれでもう人質の心配はしなくていいがヒース、まだいけるか?


「全然余裕だ。 なんなら俺一人で全部倒してもいいぐらいにな」


 はいはい、俺は後ろで支援するからお前は思う存分に戦いな。


「あいよ。 それじゃあゴブリンども全力でかかってきな!」


『――――!!』


 エースゴブリンと取り巻きのゴブリン共は叫び、武器を握りしめヒースたちに襲い掛かる。


「ボス戦じゃあぁーー!!」


 ヒースも負けじと叫び迎え撃とうと走り出す。

 自分も自身の役目を果たすために弓を構えた。


……アイツの周りに5、6匹ゴブリンの死体が転がってるんだけど気にしないでおこう。



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