この手に太陽を掴む為

胸のサイズを詐欺レベルに盛った(4ランプアップ!)自分を主人公にし、最新作では魔族と神族の2人のイケメン男子からの求愛で心が揺れ動いているか弱き少女の姿を執筆。

その妄想上とはいえモテ期到来な小説とは名ばかりの黒歴史を書き続ける事800冊。その全てを女神様に読まれている、否、愛読されている、師匠無乳ことレイシアさん。

そんな彼女に弟子入りをし、早1か月が過ぎた。


「ステータスオープン」


ハドリー Lv1

HP 14/14 MP 2/2 


ちから   4

たいりょく 5

せいしん  2

すばやさ  7

ちせい   1

まりょく  2


つぎのLvまで10


「全然数値、伸びてねぇじゃねぇっすか」


朝から晩まで毎日毎日筋トレや走り込み、格闘訓練を受けては女神様送りにされ、待ち構えている女神様と世界平和についての語り合い……という名を借りた恋愛小説レイシア黒歴史の感想を聞かされる毎日。

そんな地獄の毎日を生き抜いてきたんだ。きっとググっと数値が上がり、おっぱい泥棒ことアレクをボコる日も近いと胸を躍らせステータスを見てみれば……期待してたほど伸びていない。


「アホか、素材が悪かったら伸びるもんも伸びへんわ」

「確かに。素材が悪かったら育つものも育ちませんよね」


師匠の絶望という名の絶壁を見ながら相槌を打つ。


「レベルを上げた方がステータスは簡単に上がるんやけど、基礎ステータスを伸ばした状態でレベル上げた方が、レベルアップ時のステータスの伸びがええんよ。5上がるのが7上がる、みたいな」


へぇ~、ちょっとした裏技みたいなものか。あ、そういえばゲームでもあったな。

最初の村の教会で、ステアップの種を壺の中から見つけてレベル1の時に使うと、以後のレベルアップでステ上昇率が少し違うって。

使用時と未使用時とではレベルカンスト時、最終的に2割ほど違ってたかな?

手に入る種は1個だけでしかもランダムだから、欲しい種が出るまでやり直してたんだよな。


「ま、最初よりは少しはマシになったみたいやから、次に進もか。レベルアップ狙って近場の洞窟探検やで!」

「おお!ついに鍛え上げた肉体を、技を、爆発させる日が来たのか!」 

「あの洞窟にはスライムしかおらへんから死ぬ事は無いやろうけど、気ぃつけや?油断しとったら……死ぬで」


真剣な眼差しの師匠熱烈なファンを持つ黒歴史作家に力こぶを見せながらニヤリと笑う。


「誰に鍛えられていると思ってるんすか。毎日毎日死に掛けてるんですよ?今更スライムなんかにヤラレる訳無いじゃないですか」


そう、毎日毎日リアルに死に掛けている。女神様に毎日会っているという事はそういう事なのだ。

女神様に会う為にはHP1の瀕死の重症を負った状態で、且つ運命力が強くなければならないらしい。

……俺、よく生き残れているなぁ。生きてるだけでハッピーだ!


「それが油断やっちゅうねん。ま、ええわ、とりあえずスライム5匹を1人で倒してきぃや。それでちょうどレベルも上がるやろ。それでレベルが上がったら、今現在の差を知る為に、一回勇者君にチャレンジしてみよか」


スライム5匹だぁ?おいおい、この地獄の一カ月を生き抜いたハドリー様を舐めてんじゃねぇぞ!洞窟のスライムごとき俺様が全滅させてやらぁ!


「ちゃんと考えて戦うんやで?いくらスライムやゆうてもモンスターやさかいな。さっきもゆうたけど、油断しとったら死ぬで?分かっとんのか、こいつは」


師匠にはボコられてばかりだから、鬱憤貯まりまくりなんだよぉぉ!

スライムでもボコらなきゃやってられん!


こうして俺は日ごろの鍛錬の成果を知るために近場の洞窟へと一人で足を運ぶ。

師匠は生活費を稼ぐため、職場違法ギャンブル場へ出勤するとの事だ。

洞窟への道中、魔剣木の棒を手に入れ準備万端になった俺。

さぁここからが俺の異世界冒険の始まりだ!

待ってろよ、おっぱい泥棒アレク!てめぇをぶっ倒してこの手におっぱいを手に入れる!おっぱいを独占するのはこの俺様だ!


アレクに奪われた太陽おっぱいをこの手に奪い返すため、スライム討伐という最初の一歩をついに踏み出した俺。

この一歩から始まる伝説を、この異世界に刻み付けてやる!

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