転生したら序盤の踏み台役でボコられ最中。普通ボコられる前に転生して頑張って回避して無双する設定だよね?え?チートスキル無し?かわりにチートなメイドさんをつける?関西弁ロリババアエルフはご勘弁なのだが…
今まで応援ありがとうございました、次回作にご期待ください
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「う、うぅぅ……あ、っつつつ、体中が、いてぇ」
白い景色から意識が戻った瞬間、体中を激痛が走り回る。
そうだった、肋骨エルフにボコられて、女神様送りされたんだった。
「もぉ目ぇ覚めたんか。頑丈なやっちゃなぁ。頑丈ついでにもういっちょいっとこか?」
そう言って床に倒れている俺の目の前で所謂ヤンキー座りをし、拳を突き付けてくるメイド服姿の少女。……いや、見た目は少女、実際は高齢者。
色気のイの字の欠片もない、性癖の神に選ばれた、ごく限られた者だけに人気がありそうなスレンダーすぎる体を持つエルフ。
そういった奴らは、この自分を主人公に恋愛小説を書き続けている実年齢500歳オーバーな肋骨ババアエルフに「お兄様ぁ」とか、「ご主人さまぁ」とか言われたいのかな?……ロリメイド喫茶とか開けば商売になるかもしれんな。
「お兄様ぁ」1回500円、「にぃにぃおかえり~」1回1000円、ひざ枕1分1万円とか。いろいろオプションを考えたら、金、絞りたい放題かもしれん。
上手くやれば、働かずに楽して食っていけるのでは?……ハッ!これが所謂知識チートというやつか!おし!異世界ロリメイド喫茶で一山当てるか!
そうと決まればまずはこの、名前は確か……レイシア・フォン・アヴェール、だったかな?を説得せねば。俺専属メイドって話だから事情を話せば上手くいくだろ?
「目ぇ覚めたところで、きれいさっぱり話してもらおか。坊ちゃんどこや?
なんで中身入れ替わってるんや?」
そう言いながら俺に手の平を向けるレイシア・フォン・アヴェールさん。
すると体中を薄い光りが包み、痛みが引いていく。
「え?痛みが消えた?な、何でだ?あ!これが回復魔法というやつか!すげえ!」
「ヒールも知らんのかい、コイツは。ということは碌な魔法の知識も無いんやな。そんな奴がどうやって坊ちゃんの体を乗っ取ったんや?」
そう呟いたかと思うと、ズドンと俺の鳩尾に拳がめり込む。
「お、ぐぇぇ」
「吐くなや、吐くんやったら坊ちゃんの事を吐いてや。安心しぃな、アタシ、魔法めっちゃ得意やし、スキル【手加減】も使えるから絶対に殺さへんし。さっさと吐いた方が楽やで?」
蹲る俺の顔を蹴り上げニヤリと笑みを浮かべるレイシア・フォン・アヴェールさん。
「ま、待ってくれ、話す、話すからやめてくれ!頼む!頼むからやめてくれ!レイシア・フォン・アヴェールさん!」
血が溢れ出る鼻を押さえながら、許してくれるよう懇願する。ヤバい!このエルフマジヤバい!暴力に躊躇がない!
「……は?え?い、今、アンタ今、何て言うたんや?」
「レイシア・フォン・アヴェールさん、信じてもらえないだろうけど、今から話す事は全て事実なんだ!」
「ま、また言うた!あんたは何でその名前を知っとるんや!
突然として頭を掻きむしりながら叫び出すロリ肋骨メイド暴力エルフ。何だ?混乱してるのか?様子が変だぞ?
「レイシア・フォン・アヴェールさん、どうしたんですか?」
「また言うた!何で小説での名前、知ってるねん!何処からバレたねん!」
小説での名前?……ハハ〜ン、そうかそうか、小説では貴族っぽい名前に変えてたのか。自作黒歴史小説あるあるだな。
頭を掻きむしりながらウガ〜と叫び、コロコロと床を転がっているロリ黒歴史メイドエルフに真実を告げる。
「貴方が200年掛けて執筆した800巻にも及ぶレイシア・フォン・アヴェールが主人公の恋愛小説、女神様が愛読されてましたよ。
神官たちに神託として与えようとしてましたが、自分が止めました。危機一髪でしたね」
さすがに黒歴史が神託となり、下手したら神話になるのは惨過ぎるからな。
「何で800って知って……え?女神様が愛読?神託?は?はぁぁ?はぁぁぁあ?」
頭を掻きむしりながら両目を見開く黒歴史製造機。確かにいきなり女神様とか言われても訳分からんわな。
とりあえず俺は今までの経緯を説明する。
異世界で死んでしまい、この世界に転生した事。
俺と入れ替わる形で、領主の息子が転生した事。
女神様にロリ肋骨メイドエルフ(黒歴史800巻装備)の事を教えてもらった事等。
俺の話を聞き終えた黒歴史さんは、涙鼻水涎を垂れ流し、美少女エルフがやってはならない顔をしながら俺に抱きついてきた。
「あ、ありがどう〜、ありがどうね〜。公開ざれでだらアダジ、生きでいげながったよぉぉ〜」
俺に涎や鼻水を擦りつけ、わんわんと泣き散らす黒歴史危機一髪さん。
この様子じゃしばらく話にならないかな?色々と教えて欲しかったんだけどな。
冷静に考えたら、800巻にも及ぶ黒歴史恋愛小説を俺に読ませようとした女神様の狂気にビビる。
マジでヤバいのは女神様なのでは?そう思いながらあやす様にロリエルフの頭をぽんぽんと撫でる。
この様子じゃ執筆終了かな?女神様、残念がるかな?
ま、次回作にご期待下さいって感じか。次があるか知らんけどね。
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