エルフはエロフではない。

「う……うぁぁ。イテテテ、チクショウ、クソ女神のやつめ」


白い景色から目が覚めた俺の顔面を激痛が襲う。

そりゃ馬乗りにされて殴られてたんだから痛いわな。

ていうか、とどめの頭突きはいかんだろ?下手したら死んでるぞ?


「お坊ちゃま……領民相手に好き勝手をするとこういう目に遭います。

いくらお坊ちゃまとはいえ、あのように破廉恥な事をしてはダメですよ?」


優しい声と髪を撫でる小さな手。

あぁ、これが女神の言っていた俺付きのメイドか。

確かエルフって言ってたよな?エルフか……エロい響きだな。500歳らしいけど。


現代日本では会う事が不可能な、誰もが異世界といえば思い浮かべるであろう存在。

その異世界代表のエルフであろう小さな手の持ち主に視線を向ける。

そこにいたのは銀髪をツインテールに纏め、メイド服を身に纏い、俺を見つめる尖った耳の小さな少女。

身長は140cmちょっとくらいか?めちゃくちゃ小さくて、メイド服を着ているではなく、メイド服に着られているって感じがする見た目は小学生位の女の子。

もちろんそんな小さな女の子なので、おっぱいもまだない。このまま健やかに成長し、立派なエロフになる事を期待しよう。おっぱいは正義!


「あれ?キミみたいなお子様が俺付きのメイド?そんな訳ないか、500歳って言ってたもんな。お母さんがいるのかな?悪いけどお母さんを呼んできてくれる?」


少女は俺の言葉にニッコリと笑顔を浮かべドアの前まで行き、ドアに鍵をかける。

そしてこちらに振り向くと笑顔を浮かべたままパチンと指を鳴らす。


「誰が子供やねん。身体は坊ちゃんみたいやけど、中身は別人やん。アンタ、誰や?坊ちゃんはどないしたんや?返答次第ではダダじゃ済まさへんでぇ」


邪悪な笑みを浮かべ、指をポキポキ鳴らしながら近づく少女。いや、魔王じゃね?黒いオーラが見える気がするし。

慌ててベッドから飛び起き逃げようとするも、逃げ道はロリ魔王に塞がれており、逃げられない。


「ま、不味い!ゲームと同じくロリ魔王からは逃げられないのか!」


おい、勇者!俺をボコってる場合じゃないぞ!早く魔王と闘え!世界の前に俺を救え!

女神様!魔王がいるよ!早く俺の爆乳チートエロフメイドを連れて来て!じゃないとロリ魔王にやられちゃう!


「誰がロリ魔王や!ニセモン野郎、死にさらせ!」


まるで瞬間移動かの如く、一瞬で目の前に現れたロリ魔王。

驚く間も無く、足、腕、腹、顔……全身全てに痛みがはしる。


こ、これって格闘技漫画であった煉獄って奴じゃね?あの漫画…の続き……見たかったなぁ………


「誰がロリ魔王じゃぁぁ〜!これからが成長期じゃぁぁ〜!!ぷるんぷるんのバインバインになるんじゃぁぁ〜!」


薄れゆく意識の中、ロリ魔王の絶叫を聞いた。

バインバインだったら殴られてても楽しかったのになぁ。

また見ぬ胸がバインバインなエロフメイドを思い描きながら俺の意識は刈り取られた。





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