さぁ来い!異世界特典!!
ところで、さっきの話に勇者というパワーワードが出てきたんだが。
もしかして勇者がいるのか?
『貴方を倒した彼が勇者です。勇者アレクです』
え?あの馬乗り暴行犯、勇者だったの?どおりで俺がボッコボコにされるわけだ。
レベルがあるとすれば、あいつは20は超えているな。
『いいえ、アレクはレベル1ですよ?
ちなみに貴方を倒してアレクが得た経験値は1です』
ザコい!俺、ザコ過ぎる!経験値1て!スライム並の弱さじゃないのか?
『スライムの最低獲得経験値は2ですね。つまりは貴方2人分です』
マジデスカ!スライム以下なのか、俺は……って、いろいろ重要な情報が出てきたな。女神様女神様、この世界ってレベルや経験値があるってことでOK?
『はい、そうですよ。この世界……オルテニアでは経験を積むとレベルが上がり、
各能力が成長します。日ごろの鍛錬でも上がりますが、レベルアップでの上昇率の方が大きいですね』
この世界はオルテニアって名前なのか。
……はて、オルテニア?聞き覚えがあるような?
『現在オルテニアは魔王軍との戦争で疲弊しています。
その魔王軍との戦争を勝利に導く使命を帯びているのが……』
……なるほど、だからこの俺をチートスキル満載で転生させた、と。
この俺に魔王討伐を依頼するために、神の奇跡を使い転生させた、と。
『いいえ、全くもって違います。
確かに神の力を使い転生していただきましたが、それはあくまでアレクが罪を犯し、罰せられないための処置として、転生していただいたにすぎません。
勇者アレクが成長し、魔王との戦いに赴くための応急処置です』
ほ、ほぉ、なら最初は敵として現れたが、いつしか勇者と手を取り共に魔王軍と戦う熱いライバル的なポジションにつかせる為に俺を転生をしたのか?
分かってるじゃないのぉ、女神様~!
『全くもって違います』
だ、だったら俺に任せて先に行け!的な激熱展開を期待して俺を転生させ……
『全くもって違います』
だったら転生特典のチートスキルでエンジョイ転生ライフを……
『特典などありません。むしろトラックにはねられ死んでいるはずが、転生のおかげで生き返ったことに感謝してください』
チートテンプレ希望!エンジョイライフ希望!女神の横暴を許すな!!
『まったく五月蠅いですねぇ、生き返ったのだから満足してくださ……おや?
これはちょうどいい。良かったですね、貴方の望むチートがいますよ。
転生先の屋敷に、貴方付きの齢500歳のメイドエルフがいます。
彼女がチートな能力を持っているので、それで我慢してください』
メイドエルフだと?それは心躍るな!……え?500歳?ババアじゃん。
ていうか、元からいたんだよね?そのエルフ。
転生特典でも何でもないんじゃ……
『説明は以上です。という訳で新たな人生楽しんでくださいね?ではさようなら~』
あ、てめぇこら!待て野郎!めんどくさくなって逃げやがったな?
ちゃんと仕事しろクソ女神!まだまだ聞きたい事は山ほど…ある……んだ…………
白い景色が黒く染まり、意識が薄れていく。こうして俺の異世界転生生活が始まった。
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