第14話 未知への挑戦

「早速だが、ソフィアの故郷にあるダンジョン。その最深層まで進んでみたいと思うのだが」

「まさか……。いくらなんでも危険では……?」


 ライムハルト殿下の言っているダンジョンとは、私がダルムにパーティーを追放され婚約破棄までされたときに依頼を受けていた場所だ。

 当時の依頼は、20層まで探索できれば任務完了できるような難易度だった。

 だが、最深層となると、難易度が比べ物にならないほど難しくなる。

 しかも、誰も到達したことがない未知の場所だ。

 最高で89層までが今までの歴代記録である。

 100層をも超え、最深層の先には世界の裏側、もしくはこことは違う異世界に繋がっているのではないかとの噂だ。


「私は見てみたいのだ。例のダンジョンの終着地点はどうなっているのかと……」

「わかりました。お供します」


 はっきり言って、私の命もこれでお終いかと内心では思っている。

 だが、私は見てみたかった。

 ライムハルト殿下のような超級冒険者が何かを成し遂げる姿を。

 プロポーズしてくれた彼のカッコいい姿を、どうしても見てみたかった。


「ハッキリ言うと危険も伴う。もしも私に何かあるようならソフィアだけでも逃げると誓えるか?」

「それは無理ですね。死ぬときは一緒です。そうならないように、できる限りサポートはします」


「頼りになる。ソフィアの魔法があれば大丈夫だと確信しているからこそ挑むことではあるが。それでも未知の場所だから、念のために忠告している」

「お気遣い感謝します。しかし、殿下を放置して逃げることはできませんので」

「それでも必ずソフィアは守ると誓おう」


 如何にも死にます的なフラグっぽい発言はやめてほしい。

 訓練場で何度かライムハルト殿下の腕前を拝見させていただいたが、無敵だと思っている。

 もしかしたら補助魔法なしで、最強と言われているドラゴンすらサシでも倒してしまうんじゃないかと思えるほどだ。


 油断はしないし危険なことに変わりはないが、それでも陛下の言葉に妙な安心感を覚える。


「出発は翌週の今日。準備は整えておいてほしい」

「承知しました」

「もし、このダンジョンを攻略した暁にはソフィアと──」

「そういう発言は絶対にやめてください!!」


 嫌な予感しかしないので、黙っていてもらおう。

 ダンジョンに挑む前から危なかったな……。

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