第36話 side Aoi
そのとき、
「あっ!」
ニコさんが叫び、手のひらで顔を突っぱねられた。
「いでっ。」
首が変な方を向いた。
「寧々!盗み見しないでよ。あ、碧生くんごめん。」
なんと雑な扱い。
どうやら寧々さんが今のを見ていたらしくニコさんの顔が真っ赤になってる。
「ほらほら遠慮せずチュッチュしちゃってよ。あんまり騒ぐとお母さんたちも起きちゃうよ。」
キスのジェスチャー付きでおちょくりながらリビングに入ってきた。
「最悪。どこから見てたのよ。」とニコさんが漏らしながら、コップを片付け始める。
あれ、キスはお預け?
俺はもうチュッチュしたくてたまらないのに。
「もう。ニコちゃんったら気にしなくていいのに。あおいくんはしたかったよね」
と寧々さんが言う。
おっ、俺のことよくわかってる。
「そうっすね、へへ。」
いっしょに片付けながら、そんなこと言ったら「ちょっと。」とニコさんに腕を軽く小突かれた。
「スポンジこれでいいっすか。」
「うん。ありがとう。」
使ったコップやお皿をスポンジで洗う。
「寧々は寝ないの?」
その横でニコさんは寧々さんと話しながら泡を洗い流す。
「目が覚めちゃったから起きとく。なんか軽く食べられるものないかなぁ」と寧々さんは冷蔵庫を物色しているようだ。
あ〜あ、キスしたかった。
とキスに思いを馳せながら濯がれた食器を拭いているとニコさんが腕でトントンと突いてきたので顔を向けたら!?
キス!
まさかのニコさんからのキス。
チュッと軽いのだけど、驚くし嬉しいしで卒倒しそうだった。
「よし、片付け終わり。じゃあ、寝るね。おやすみ。」
大人なのか何事もなかったようにニコさんは部屋を出て行った。
あ〜もう!
今夜は眠れないっす!
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