第35話 side Aoi
ニコさんとソファに並んで座るのが夢みたいだ。
「眠れないでしょ。付き合ってあげる。」
烏龍茶飲みながら深夜番組を一緒に見る。
お酒が残ってるのかニコさんの顔が緩んでる。
もしかして俺と仲直りして嬉しくて顔が緩んでたりして…なわけないか。
「こんな夜中になんで碧生くんとならんでテレビ観てるんだろう」と笑うニコさん。久しぶりに笑う顔が見れた。
それだけで嬉しすぎて足をジタバタしたくなる。
俺の前で笑わなくなったあの日から、毎朝辛すぎて朝が来ないで欲しかった。朝起きるときに自分の全てが闇に落ちていく感覚。
仕事以外の話は聞いてくれない。メッセージはブロック。
誤解を解きたいのに術がなく詰んだ。
なんでこんなことになったんだろうって、初めはあんなことした実花に怒ってたけど、そうじゃない、俺がもっとちゃんとはっきり拒めば良かっただけの話だ。
もう後悔したくない。
今じゃないとは思うけどちゃんと伝えておかないと。
「ニコさん。」
「ん?」
まっすぐ見つめるとニコさんも俺をちゃんと見てくれる。
それだけでもいい。
だけど言わないと。
大きく息を吸う。
「ニコさんが好きです。」
ニコさんがびっくりした表情になる。
「俺はニコさんが好きなんです。さっきまで嫌いだったヤツに言われたくないだろうけど、ちゃんと気持ち言わないで終わりなんてイヤなんです。
付き合ってほしいとか図々しいこと言いません。なんでも頼める後輩から関係をまた始めてさせてほしいです。」
目を逸らさずに聞いてくれた。
ニコさんはクッションを抱きしめながら何も言わない。
しばらくすると
「えっと…それはイヤかな…。」
と小さめな声で答えた。
『イヤ』って結構なハードな答え。
カナヅチで頭を殴られたようたショック。
「えっ…イヤっすか…。」
「うん。イヤ。」
今度ははっきりと言われた。
さっきよりもっと強く殴られた感じ。
完全なる拒否。まじかぁ。
頭を抱えて落ち込んでいると
「後輩はイヤ。お付き合い前提の関係ならいいよ。」
「…そっか。後輩はダメですか…ん?え、今なんて言いました?』
「わたしもやっぱり好きみたい、碧生くんが。」
ニコさんがクッションに顔を埋める。
「え、え、えー?」
今「好き」って…ウソだろ。
「まじっすか?」
「まじっす。」
俺に向けてくれる笑顔が愛おしすぎて我慢できず抱きしめた。
俺の耳元で吐息を直に感じたらあの日のことを思い出さずにはいられない。
抱きしめた腕を緩め、ニコさんの目をみつめて唇に視線を落とす。
キス…してもいいよね…頬に手を添えて顔を近づける。
ニコさんも俺の首元に手を置いて顔を傾けあとすこしで唇に…。
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