第33話 side Nico

だいぶよそよそしかっただろうけど、なんとかこの場をやり過ごした。

どっと疲れた。

お母さんが片付けを始めたのを見て碧生くんが、

「あっ、片付けます。」と。

「いいのよ。」

お母さんが碧生くんを制し、わたしに目配せする。

「碧生くん、座ってて。」

気付けばもうすぐ9時近い。

片付けが終わったら碧生くんを見送るついでに話しよう。

実花ちゃんの話(盗み聞きだけど)を聞いてどうしたいのか自分でもはっきりしてないけど、話すれば着地点が見えるかも。

「あおいくん、こっちで一緒に飲もう。」

「あ、はい。」

まだ飲み足りないのか、お父さんがおつまみ準備してソファ前のテーブルに広げている。

「お父さん、碧生くん、明日も仕事だよ。」

「いいじゃないか。なぁ。」


片付けが終わり、碧生くんを見送ろうとスマホを手に取ると

「ニコ、あおいくん寝ちゃってるよ。」

お父さんがシレッという。

「えーお父さん。飲ませすぎ」

クッション抱きしめて座りながらソファにもたれ寝てる。

「あれ、あおいくん寝ちゃってるじゃん。」

片付け終わったころに部屋から出てきた寧々が、

「寝顔が綺麗過ぎる。」

と言いながらスマホで写真撮り始めた。

「ちょちょ…。」

止めようとしたけどお構いなく写真を撮り、こそっとわたしに

「壁紙にしちゃいなよ。」

こっちにお構いなしでAirDropで写真を送ってくる。

「しないわよ!」

こっそり写真を見てみる。

キュンとなってしまった。

待ち受けに…ダメダメ。それは変態だよ。

どうしたらいいのかな。みんなお酒飲んでるから送れないしタクシーで送る?とか考えてたら

「ニコ、そこに布団敷いてあげて。」

お母さんが言う。

「うん。」

布団を敷けるスペースをリビングに作り、和室の押し入れから来客用の布団を運んで敷く。

「これシーツね。」

お母さんが持ってきた洗濯されたシーツを敷いて、お父さんとわたしの2人がかりで碧生くんを布団へ移した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る