第32話 side Nico
えーと、ハイボールは絶対飲むから瓶のウイスキー買っていこ。
あ、このジン美味しいんだよねと手に取る。
スーパーのお酒売り場を物色しているとメッセージの通知音が聞こえた。サイレントモードにしてなかった。
寧々から、
『酒屋で日本酒も』
と指定の銘柄の写真付きメッセージ。
スーパーでお酒やおつまみを買って、酒屋に日本酒買うために寄った。
瓶3つは重い。袋が破けないといいけど。
家までもう少し。
仕事で鍛えられてると思ったけどまだまだね。もっと鍛えなくちゃな。
とブツブツ言いながら歩いているとメッセージの通知音。
買い物の追加だったらいったん家に帰ろう。
袋の1つを地面に置いてスマホを確認する。
画面を見るとよく行くデパートのお知らせだった。
あれ、別のメッセージもある。
トーク一覧画面に戻ると真波さんからだ。しかも1時間くらい前に届いてる。
まずい、気付かなかった。仕事の伝言かな。
残りの買い物袋も地面に置いてメッセージを開く。
『明日のセミナーの資料を渡し忘れてたから碧生くんに届けるようにお願いしたよ。家の住所教えたから。』
と一緒に、てへぺろのスタンプが送られてきた。
碧生くんがウチに来るの?!てへぺろじゃないよ!
なんで勝手に住所教えちゃうわけ?個人情報!危機管理!
碧生くんもメッセージで呼び出してくれたらいいのに。
あっ。自分でブロックしてるんだった。
あ〜もうパニックだよ。
受信時刻が1時間前だったからもうウチに着いてる可能性もある。
地面に置いた袋を持ち上げて家までヒーヒー言いながら走りなんとか到着。
家の前に碧生くんの自転車がある。
持ち主は?!
息を切らして急いで玄関を開けると見覚えのあるの靴がある。
「なんで上がってるの!?ただいま!」
みんなに聞こえるように大きな声で叫び、靴を脱ぎ捨てて重い買い物袋を放置し、リビングへ走ると居心地悪そうにいる碧生くんがペコっと軽く頭を下げて
「おじゃましてます。」
困った顔をしている。
なんでお父さんとお酒飲んでお肉食べてるのよ。
「ニコちゃんの忘れ物届けてくれたよーお酒は?」
寧々が喋りながらこっちに来る。
「げ、玄関…。」
「もぅ、ちゃんと中まで持ってきてよ。」と席を立ってこっちに向かってきた寧々はすれ違い様に「かわいい年下イケメン」と耳元でささやいた。
すぐからかう。お尻をペシっと叩いた。
お父さんが
「ニコも手を洗って一緒に食べるぞ。」
と酔っ払ってるのか機嫌よく言う。
「う…ん。」
碧生くんのお皿に肉を入れる上機嫌なお父さん。
「あおいくん、食え食え。」
「あ、いただいてます。」
この状況はなんなの、ぐちゃぐちゃでどう対応したらいいのかわからない。
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