第25話 side Nico
「お疲れ。」
カウンターにならんで座り乾杯する。
居酒屋連れてこられた。クラフトビールが美味しいお店らしい。
宇佐美はハンドルキーパーだからわたしだけ飲む。
昨日みたいに飲みすぎて寝ちゃったら大変だけど、今の状況、飲まないとやってられない。
「どういうお客さんだったの?」
「え。あ、あーと、小さいホテルなんだけどさ、父さんの知り合いで、明日大事なお客さんがくるとかで。」
宇佐美がなぜかあたふたしてるんだ。
「ふーん。」
でも、それ以上は興味ないから詮索はしない。
イヤなヤツだけど、話しすればそれなりに話せて、わたしもお酒が入って楽しくなり、宇佐美も今日は上機嫌なご様子でご飯は不味くならなかった。
宇佐美がトイレに立ったときちょっとふらついた。
「え、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫。」
さすがにふらついてるのを見ると心配になる。
でも、なんであんなフラフラしてるの?
あれ?酔っ払ってる?
烏龍茶だから酔うはずがない。
だけど、店員さんに念のため尋ねると宇佐美が飲んでいたのは烏龍茶じゃなくてウーロンハイ。しかも最初からウーロンハイで注文だったと言うじゃないか。
それを聞いてクラっとする。
意味が分からない。なんでわざわざお酒飲むのよ。
戻ってきた宇佐美に
「なんでお酒飲んでるの?帰れないじゃん。ねぇ。明日仕事だよ。どうするの?代行で帰ろう。」
「いやいや、ここからいくらになると思う?」
確かに2時間代行使ったらすごいことになるだろうけど、でもそんなこと言ってられない。
「社長の息子なんだから経費で落としてよ。えーちょっと本当になんなの。」
あまりのことに泣きそう。バカと思ってたけどここまで大バカと思わなかった。
「どこかホテル取ろう。なんなら俺はラブホでもいいぞ。」
きもっ。一発殴りたい。
あ〜この人のこのご機嫌さは酔っ払ってるからか。
スマホで近くのホテルを探し、シングル2部屋手配する。
女性専用階があったからすぐに決めた。
手配したホテルの情報をメッセージアプリで宇佐美に送る。
「このホテル取ったから。素泊まり。」
「仕事が早いな。」
「わたしはホテルまで歩いて行くよ。明日の朝6時にロビー集合。じゃ。」
頭にきて一緒にいたくないから酔っ払ってる宇佐美を置いて1人でホテルに向かった。
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