第21話 side Nico
朝ごはんまで用意してくれるとか、なんて神。
トーストとサラダとコーヒー。
「牛乳入れるならどうぞ。」
「いただきます。」
至れりつくせりで感動。手を合わせていただく。
恋人にはいつもこんな感じなのかな。ちょっと想像しちゃう。碧生くんが彼氏でお泊まりしたらこんな感じで、って本人目の前にして妄想とかやばすぎる。
「あっ。昨日の飲み代とかタクシー代とかもろもろ教えて。」
「いや、いいっす。」
「ダメだよ。そこはちゃんとしないと。それに迷惑だってかけちゃったし。」
バッグから財布を取り出す。
「じゃあ、3,000円で。」
「絶対少ないでしょ。わたしめちゃくちゃ飲んだよ。5,000円しかない。足りない分は明日でもいい?」
「いやいや、多いっすよ。はい、お釣り。」
2,000円返された。
「泊まらせてもらって朝ごはんまでご馳走になって、彼女に申し訳ないね。」
「え?彼女?」
碧生くんが不思議な表情をしてこっちを見る。そのとき、碧生くんのスマホになにかの通知が届いて真っ暗だった画面が付く。
壁紙が花に変わってた。実花ちゃんとのツーショットだったのに。
「壁紙変えたの?」
と、口から咄嗟に出てしまった。それを聞いて碧生くんが反射的にスマホを裏返す。
「え?前から今のですよ。」
前は違ったから、ついつい「実花ちゃんとの写真だった。」とぼそっと言ってみた。
碧生くんの目が見開いて表情が変わった。
「え!?…あれは実花が勝手にしたんですよ。」
「彼女だからでしょ。」
自分でも止められなくて畳み掛ける。
「なんでそうなるんすか。っていうか、いつ見たんですか?」
「事務所の机の上にあったときたまたま見た。」
「それはその場凌ぎってやつです。」
碧生くんがなにか考え込むような顔つきになり、
「あぁ、そういうことですか。何回も言いますけど実花だけは絶対ないですから。」
ちょっとムキになった。
え、これはどういう感情なのか?そこまでムキにならなくて。
でも、碧生くんがはっきり口にしたことでわたしの気持ちが決壊し始めてドボドボ溢れる、
碧生くんが好きということが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます