第18話 side Aoi

早上がりだったニコさんは車を家に置いてから来るといい、俺と店長は店を閉店時間ピッタリに閉めて、商店街から少しはずれた居酒屋に集まった。

入店から1時間くらいしたところで、店長は今回も旦那さんから早く帰ってきてコールがあって「もうちょっといたいのに。」とブーブー言いながら帰って行った。

歓迎会同様、そうなるんじゃないかと狙ってた。ニコさんと2人きりになりたかった。

2人きりになれたら、ここ最近の距離感を縮めたかった。…けど。

今、ニコさんが俺の体に寄りかかって寝ている。さすがにまたこんなことになるなんて思わなかった。

「ニコさん、ニコさん。」

体を揺すっても全然起きない。


今日のニコさんはとんでもない酒癖を見せてきた。

はじめはすごく楽しそうに仕事のことを話してたのにお酒が進むにつれて兄ちゃんの悪態突いてブチギレて、スッキリしたのか大笑いし出しと思ったら人生に悲観してオイオイ泣いて、でも今が楽しいからいいやと楽観し出してコテっと寝た。

怒涛の喜怒哀楽だな。

その話の中で兄ちゃんの虹色を聞いてズッコケそうになった。自分の兄ながら恥ずかしい。どういう感性なんだ。

まぁ、兄ちゃんのおかげでこうなってるからある意味感謝。

ニコさんに、俺とマネージャーが兄弟と伝えたらそれだけで拒否反応起こされそうだ。これは黙っていたほうがいいだろう。

一緒に出かけた日の後はちょっといい感じなんじゃないかって思った。だけど、いつからかそんな雰囲気がなくなり、ただの同僚のようになってしまったし、少し避けられてる感じもした。

いろいろ考えたけど思い当たる節がない。

だから今日誘ったときはダメもとだった。運よく店長が一緒に行くって言ってくれてニコさんも来てくれたんじゃないかと思う。

それはそうと…。

居酒屋が2時間の入れ替り制だからそろそろ出なくてはならない。

起きないニコさんをどうしたものか。

自宅知らないもんなぁ。店長にニコさんの住所聞いとくんだった。

考えた末、これは仕方ない。


ニコさん何にもしないから俺んちに連れて行きますよ。

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