恋しちゃうのは不可避だった

第15話 side Aoi

「またこのファミレス。」

いつものファミレスに入り、向かい合って座る実花は不満げな表情。

「イヤなら帰る？学校は？」

「テスト休み。」

そかそか、期末テストの時期か。

「で、なんかあった？」

「一緒にご飯食べたいだけじゃダメなの？っていうか、実花のこと無視してない？メッセージ送っても全然既読にならないし電話してもでてくんない。」

実花の愚痴を聞き流しながら、テーブルに置いたスマホをいじっていると

「あ！」

スマホを取り上げられた。

「お、おい！」

「ねぇ、この写真。」

写真？ただのホーム画面のスマホを突きつけられる。

「この壁紙の写真！もうなんでぇ。」

実花が泣きそうになりながらテーブルに突っ伏す。

あっ。

壁紙の写真はこのあいだニコさんと撮った写真にしていたのだ。

ロック画面の壁紙にしたいけど丸見えだからやめた。

せめてどこかにと思ってアプリアイコンに隠れるホーム画面にしたんだけど、実花のやつ、相変わらずめざとい。あ〜めんどくさいな。このまま泣かれるのも困る。

「間違えて変えるの面倒でそのままにしてただけ。」

実花はガバッと顔を上げて、

「ちがう！なんでこんな恋人みたいな写真撮ってるの！」

俺がニコさんの肩に手を回してるのを見つけたんだ。なんでそんなところまで見えるんだよ。

シクシクしてると思ったら急にパッと表情が明るくなり、

「あっ。いいこと思いついた。実花と写真撮って壁紙にしちゃおっと。」

実花が隣に移動してきてくっついて俺のスマホで自撮りを始める。

「よし。」と返されたスマホは、ホーム画面だけじゃなくロック画面も実花との写真になっていた。

「おそろ。」

そしていつの間にか自分のスマホにも写真を送り同じ写真を壁紙にして、実花はウキウキしている。

「変えたら承知しないからね。あ、ご飯来た。食べよ。」

実花は頼んでいた海老グラタンがきたことに喜んでいる。

職場に戻ったら即戻そうと考えながら一緒に運ばれてきた唐揚げ定食に手をつけた。