第13話 side Nico
店に戻ると駐車場に真っ赤ないい車が停まっている。ということは宇佐美が来ている。
「戻りましたー。」
事務所に入ると、わたしのデスクにデーンと座って手招きしている。
「お疲れっす。日比野。ちょっと来い。」
きょうは厄日かな。実花ちゃんに恫喝されるし宇佐美に呼び出される。
宇佐美は社長の息子だから1人とんとんと出世してエリアマネージャーになり私の上司。コネということは有名で、そんな人が上司とかモチベーション削がれる。宇佐美の顔見るだけで「はぁ。」と自然にため息が出る。
「朝の準備で忙しい時間に来ないでよ。」とボヤく。
「ニコちゃん、いつでも助け船出すよ。」
後ろを通りかかった真波さんがぼそっと言う。
「よろしくお願いします。」
そこからグダグダ15分話されたけど、要約すると、次のステップへ上がるためにレポート提出しろとのこと。というかメールでいいじゃん。むしろメールで詳細送ってほしい。
「で、日比野がどうしてもっていうなら仕事終わりに一緒に考えてやってもいいけど、今晩とか…。」
もうまたこれ。すかしてるのかと思ったら急にモジモジし出す。
「店長に相談にのってもらうんで大丈夫です。あ、さっきの話、聞き漏らしてたら困るのでメールで文書にしてください。」
『一緒に考えてやっても』って何様なのよ。そもそも宇佐美は昇格時にレポートすら書いてないって自分で触れ回ってた。そんな人がどんなアドバイスくれるっていうのよ。聞きたくもない。
「え、え、なら、明日の夜…。」
「予定あります。じゃあ、開店準備あるので失礼します。」
「ちょ、ちょっと。」
宇佐美が後ろでまだモゴモゴ言ってるけど無視してその場を離れる。
「あ〜あ〜朝からやな気分。」
天井を仰ぎ、目をつぶり今朝のイヤな出来事を忘れようと気分をなんとか上げる。
「がんばろ。」
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